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2016年03月12日20:49

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日本を捨てた男たち

 昨日と今日で『日本を捨てた男たち』(水谷竹秀著)を読み終えた。2011年第9回開高健ノンフィクション賞受賞のルポルタージュだ。行き場を失い転落の終着点がフィリピン、という男たちの生き様を追った一種の「貧困本」。
 新刊で買うほどに興味があったわけではなかったが、ブックオフでたまたま拾えた。昨年の秋、旅行作家と懇談中、アジアをテーマにした旅本企画を私から提案することとなり、少しでも関連する本を見つけたら片っ端から買って読むよう心掛けている。早く約束を果たさないと。
 本を手に取って驚いた。スピン(布のしおり)が赤と白の2本あった。どんな部厚いハードカバーでもスピンは1本と決まっている。これまで1万数千冊くらい本を買ったが、スピンが2本ある本は初めてだ。カバーを外したら、表側の表紙が白、裏側が赤だった。これもまこと不思議なデザインで、装丁は出版界では超メジャーな鈴木成一だ。ノンフィクションには珍しい角背といい、カバー写真のトリミングといい、野暮ったいこと甚だしいし、スピンも含めて掟破りでもある。
 そんな些事はともかくとして、水谷の取材姿勢に最初から最後まで共感した。マニラの貧民街で貧しいフィリピン人に助けられながらなんとか生き延びている男たち一人ひとりに向きあって丁寧な取材をし、さらに彼らが水谷に話した過去のエピソードに嘘がないかを裏取りするために彼らの親や元妻らを訪ね歩いて証言を引き出し、少しでも真実に肉迫しようとする。ルポの途中から、マニラで「沈没」しているどうしようもないジジイの生き様よりもむしろ、水谷の「歩き方」に焦点が合った。文字通り汗をかいて沈没者に会いに行き、時にわずかの金を渡してやったり日本大使館に連れて行ったりする真摯な取材姿勢に胸を打たれた。情報源と言えばネットで、自分の目で実際に見聞きしていないデジタルの文字と絵をコピペし、それで物を言うようなものばっかりの時代だ。愚直さが尊ばれなくなった。無駄足が敬遠されるようになった。私も在職中は愚直じゃなかったゆえ、せめて退職したあとは、インチキなふるまいはやめようと誓った。だから水谷の取材姿勢だとか、『ホームレス歌人のいた冬』の三山喬のような地を這う取材者を知ると、それだけで励みになる。
 本を午後3時に読み終わって、テレビでマリノスvs新潟アルビレックス戦の生中継を観戦。ときどき選手名鑑を広げて知らない選手の経歴などを頭に入れつつ、1プレー1プレーを見続けると、45分なんてあっという間に過ぎていく。マリノスでは高校を卒業したばかりのルーキーがこの試合に初先発となり、開始早々から意気込んでドリブルで相手を抜こうとたびたび試みるも、新潟のブラジル人DFがそのたびにつぶし、解説の金田さんが何度も「いい経験になりますねー」と、やや小馬鹿にして笑っている。私も笑えた。18歳のルーキーなんてこんなものだ。ガンバの遠藤だってデビュー当時(横浜フリューゲルス!)、時折きらりと光る足技を見せるものの全然、通用しなかったのだ。幸いマリノスは現在選手の層が薄いので、また出場する機会がある。金田さんじゃないけど、今日の経験を糧に早くレギュラークラスの力量を備えて欲しい。
 マリノスがなんとか2対1で勝利を収めたところで、ラズリの散歩。私の体調がイマイチなので、30分弱で戻った。
 まずは体を作り直すことだ。そうでないと、汗をかくことが出来ない。だんだんとこの先何をしたいのか、しなければいけないのか、わかってきた。
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