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2016年02月11日09:35

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フォルムの実際 ブグロー編 人体デッサンの基礎

フォルムの実際 ブグロー編 人体デッサンの基礎
 最初に人体デッサンを行う場合、そのモデルの大きさに当惑する。全体を見れないのだ。顔を見れば足が見えない。胴を見れば顔も足も手も見えない。部分的に観察してそれを統合して描いていく必要がある。そのため、まずは、スケッチブックで初期のBargueに習い、小さめに人体全体を直線的な線で描いていく。この場合の注意点は、比率だ。頭の大きさに対する体の大きさの比率は、誰もが意識するだろうが、肩幅、胸囲、胴囲、腰回り、太もも、ふくらはぎ等の大きさも計測していく。頭は、上から見ると楕円形になっていて、前から見るよりも横から見た方が面積は大きくなる。人体は一時が万事こんな感じで、円形や円柱は、ほとんどない。楕円、ねじれ、伸び縮み、骨以外の人体のパーツは、動きによってフォルムが変わる。顔から首にかけての変化でも、認識できるようになるには、かなりの時間がかかるだろう。首から鎖骨、肩、腕への変化も微妙で、フォルムを理解していない場合が結構多いのだ。痩せた人と、ふっくらした人では、首から肩、胸にかけてのフォルムにかなりの違いがある。人体は、大きな筋肉、小さな筋肉が複雑に絡み合い、それを腱で骨に繋げている。筋肉は、力を入れると硬くなり、力を抜くと柔らかくなる。その上に脂肪が乗っており、その脂肪も動く、そして皮膚だが、この皮膚も、かなり伸び縮みをする。人体は、その姿勢によって、筋肉や脂肪、皮膚もかなり変化するのだ。細かく見ていくとキリがないので、最初は、立体物として単純化した形で捉えて描いていく。やはり、Bargueのデッサンが最も分かりやすい。高いデッサン力を持っている者が単純化したフォルムと初心者の単純化では意味が違ってくるので、素直に習った方が成長は早い。何でもそうだが、基礎を学ぶ場合、素直な者の方がすんなりと成長する。基礎に馴染めないと感じる場合は、そのジャンルに向いていない場合が多いので、別の道を歩んだ方が成功する可能性が高くなる。どうしても基礎デッサンが嫌だ、と感じる人は西洋絵画には向いていない。絵画と言ってもいろんなジャンルがあるので、自分に合った絵画を目指した方が良い。現代の絵画では、西洋絵画の基礎を無視したような絵画も多数あるので、そちらの方向へ早めに舵を切るのも1つの方法だろう。だが、後に具象絵画を描きたい、と思った時には、基礎からやり直す必要が出てくる。西洋絵画の基礎デッサン力を身につけるには、かなりの時間がかかってしまうので、生きている内には間に合わなくなってしまう可能性もある。若い頃、10代で、基礎訓練をみっちりやった方が良い、と言うのは、経験から出た実践的なアドバイスでもあるのだ。もちろん、ある程度、年をとってからでも上達はするが、早く始めるに越したことはない。定年で時間が自由になれば、絵画でも描いてみようと思っている人もいるだろうが、直ぐに始めた方が良い。難しい事を考えないで、安いスケッチブックでも買ってきて、身近にある興味のあるモチーフを、鉛筆等で描けば良い。重要なのは、興味のあるモチーフを描く事だ。家族でもいいし、自分でもいい。長年使っているカバンや財布でもOKだ。汚れた靴も良いモチーフになる。モチーフを選ぶ時には、思い入れが大事になる。そして、上手く描こうとしない事だ。普段使っているカバンを綺麗に描いたってしようがないだろう。手垢の付いた取っ手も、そのままに描けば良いのだ。絵は、花や果物を描くものだと思い込んでいて、興味も大してない花や果物を描く人も多いが、気持ちが入らないと絵にならない。特に高齢になってから絵を描こうとしている人は、自分の心に引っかかるモチーフを選択する事がとても大事。マニュアル通りの絵を描いて、一見上手く描いているのだが、上滑りになってしまった絵を良く見かける。電車が好きなら電車を描けば良いし、レールが好きならレールを描けば良いのだ。そうすれば、自分が思う電車、レールは何か、と考えるはずだ。電車のレールだけをアップで描いたっていい。自販機が気になるなら、自販機だけを描く。ただ、気をてらって、こんな絵を描けば面白いだろうと言う下心がある場合は、往々にして失敗する。重要なのは、絵とはこういうものだと言う先入観を捨てる事だ。石膏デッサンをやり始めたのは、ヨーロッパでの古代ギリシャ・ローマ時代の研究の流れからだった。石膏像は、本物の石像から型を取って作られたレプリカだったのだ。イタリアで石膏のレプリカを作り、それをフランスまで運んでいた。ルーベンスも行っているのだが、ローマに絵画留学をして、その地の名画を模写する。その模写を自国に持ち帰り、仲間や後輩に見せる。写真のなかった時代に、模写は情報を伝達するのに優れた手段だった。古代の彫刻のフォルムを理想形とし、若い画家達がそれを学んでいた。それが石膏デッサンのルーツだ。問題なのは、古代ギリシャ・ローマの彫像は、西洋人がモデルだという事。ここでも、日本人用に変換する必要があった。明治期の画家達は、西洋人の人体デッサンや、アカデミック絵画を日本人をモデルとして描直す必要があったのだが、それを十分行っていなかった。明治から大正時代は、西洋絵画の流れが大きく変化する時代であり、その流れの中で、日本の西洋絵画は翻弄されていく。結局、その意味もあやふやなまま石膏デッサンが残り、学生が基礎訓練として石膏デッサンばかりをするようになっていったのだ。石膏デッサン偏重を批判するのは正しいとは思う。しかし、同時に人体デッサンをも否定するのは馬鹿げている。真摯に人体デッサンに取り組む姿勢こそが日本の西洋絵画には必要だったのではないだろうか。







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