朝刊は基本的に一面から読む。いまは最初に沢木耕太郎の連載小説を読んでから一面に戻って順々にめくっていくのだが、読み終わりの社会面で訃報を知った。
高田宏さんが11月24日、お亡くなりになっていた。享年83歳。
もし高田さんにインタビューする機会がなかったとしたら、私は間違いなく人生が変わっていた。
話をうかがうため、高田さんの本を4〜5冊読んだ。それらの本の一冊に『八ヶ岳・森の時間』があって、そこに野澤一のことが書かれていた。
インタビューのテーマはなんだったのだろう。記憶にない。取材を終えたあとの雑談で、私は野澤一についてしつこく尋ねたことはいまもありありと覚えている。ずいぶんと失礼な質問までした。高田さんは野澤一の伝記を書かないのですか?
「本で書いた以上のことを、ぼくは知らないんだ」
それから15年後、私が野澤一の本を書いた。ネタの出所も高田さんなら野澤一に対する見方も高田さんの視点をほぼ踏襲した。そのことは本でも書いたし、ゲラの段階で高田さんにお伝えし、本の見本段階で高田さんに謝辞を付けて送らせていただいた。
野澤一のことだけに限らない。高田さんの自然観と人生観、旅について、書物との接し方について、多くのことを学んだ。
ただただご冥福をお祈り申し上げる。
ありがとうございました。
昼前に大学時代の友人にファクスを一枚送った。
昼過ぎに2枚、はがきを書いた。
喪に服するような気分なのだろう、抑え気味の一日となった。
ログインしてコメントを確認・投稿する