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2015年11月27日21:23

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初雪の夕暮れ、雪見露天風呂。

 久しぶりに福島へ行った。東日本大震災から4年半が過ぎ、原発問題も少しずつ「風化」している。記憶というのは意図的に思い出すエクササイズをしないと、どんなに頭がいい人でも忘れていく。自分のなかでもフクシマは徐々に元の福島に戻りつつある。
 この1か月くらい前からときどき腰に違和感を覚えていた。生まれて一度も腰痛を感じたことがなかったので、腰が少し張ったというか凝ったような感覚なのに、この体大丈夫かなどと不安に思った。が、茶褐色の湯が溢れる温泉に何度も浸かっているうちに腰の疲れは全く気にならなくなった。血の循環がよくなり、強張った筋肉がほぐれたからだろう。体を温めるとすべての病気が治る、なんてトンデモ本が年に何冊も出ているが、私の場合、日々の入浴とこのような湯治旅が欠かせない。温泉に入ると調子がよくなる。
 一昨日の昼過ぎから福島は雪になった。夕暮れ時、露天風呂に浸かっていると、湯船のそばにある松から雪の塊がときどき地面に音をたてて落ちた。最初はスローモーションのようにゆっくりと、そして地面に落ちる頃は勢いよく。重力の法則、9.8T。
 旅に出ると、その地でとれた米や農産物、味噌や醤油などを買うのが楽しみになっている。今回も宿からほど近い農家のかたが作った米を買ってみた。
 福島産の米や桃などの果実、魚介類は買わなくなった。とくに米は毎日食べるものだから意図的に控えた。
 農家のかたから「ご心配かもしれませんが全量調査をした米です」と直接に言われた。さらに300グラムの小袋を「よかったら食べてみてください」と手渡された。疑心暗鬼な消費者を前に、農家も漁師も何百回何千回とこのような誘いを述べなければいけない、という現実はなんとせつないことだろう。苦心して栽培した米を2合とは言え無料で渡して食べてもらうというアピールをしないと売れない現状はなんと哀しいことだろう。しかも、怖ろしいことに100パーセント安全であるとは言えない。そもそも汚染対策は終息しているどころか、ちょっと大雨が降ったくらいで汚染水はダダ漏れとなり、漁協の責任者に告げるだけで何の対策もしないまま海にそのまま流しているのである。私がガキだった頃、日本中でトイレから出た屎尿などをそのまま流していたが、それよりも始末が悪い。
 水が豊富できれいな地域だから米だってうまかろう。旅行カバンに入り切る量を買わせていただいた。で、昨晩帰宅後、さっそくその米を炊いてみた。
 これほど美味しい米は久しぶりだ。いや、これまで経験なかったかもしれない。あまりの美味しさに、文字通り舌を巻いた。一流の食い物屋や宿というのはごはんと味噌汁(つゆ)が美味しいものだ。貧乏な我が家ではせめて米と味噌くらいは一級品を味わいたい。というか、この程度しか贅沢できないのだけど。
 
 今朝7時45分、目が醒めてベッドわきの照明スタンドをオンにした瞬間、「球」が切れた。昨日の新聞によると、2020年までに電球や蛍光灯は製造も輸入も禁止してLEDだけにする、と政府が決定を下したらしいが、このスタンドに取り付けられているのは世にも稀なハロゲン球。一般的な照明器具というのは丸い差し込み口なのに針が2本出ていて、それを抜き差しする形状になっている。替えはどこに売っているのだろう?
 朝食後、このあたりではいちばん大きな電気店とホームセンターが入っている大型ショッピングセンター・湘南モールへ行くことにした。
 切れたハロゲン球を携え、まずはノジマ電機で「これ、ありますか?」と店員に訊いてみたら、いったん奥に引っ込んでふたたび戻ってきた。
「残念ながらうちには置いていません。通称ハロピンと言うそうです。ひょっとしたら階下のホームセンターにあるかもしれません」と言われる。
 ご親切さま。
 言われたとおり、ロイヤルホームセンターに行き、最初から店員を呼び出して現品を手渡し、「これを欲しいのですが」と言うと、どうぞこちらへ、と案内される。
 やっぱあるところにはあるもんですねぇ。ありがとう。
 感激してつい礼を言ってしまった。しかし、直径1センチ長さ3センチくらいの小さなランプが864円って、高えなぁ。が、あと5年後に今度はこのハロゲンが買えなくなるのか、と考える。いや、闇商売というのはいつの時代にもあるので、ヤクザ系のネット通販会社がハロゲン球を扱っていて、定価なんてないわけだから一個7980円という値付けで暴利を貪ってたりしてな。白色電球が一個1980円、うちのキッチンについている長い蛍光灯管なら4980円。ところで私は2020年に生きているんだろうか。
 今日の朝刊をぱらぱら繰っていたら、フライデー(週刊誌)の広告があって、ああ今日は金曜日なんだね、と気が付いたのだが、トップ記事は「安倍首相が橋下徹と二人三脚で<逆らう者は全て干す>」。フライデーにしては気骨のあるタイトルだが、2年くらい前から、全体主義国家へまっしぐら、という流れが強まっていて、それでなくてもあまり生に対して意欲的じゃないので、2020年までに死んでもいいかというような気分になり始めている。朝刊には「中国人参加者にビザを発給せず」という記事が載っていて、読んでみたら歴史問題をテーマにしたシンポジウム(旧日本軍の731部隊による細菌戦)参加志望者に日本政府はビザを出さなかったという。NHKあたりの政府寄り報道機関はニュースで扱わなかっただろう。自国に不利益な者を入国させない、というのはお隣中国や北朝鮮によくある事例で、今日の夕刊ではミスカナダ(中国人系)が中国の人権状況批判をしていたことから中国当局が自国開催の「ミスワールド大会」で入国拒否というみっともない騒ぎを起こしている。あんなに中国を嫌っている安倍が中国政府を真似るなんて、言語道断だと思う。今こそネトウヨは非国民・安倍ナチ晋三をテロルすべきだろう。というか、本来の日本文化をまったく尊重しない右翼と右翼政権は、中国の隅っこにでも行ってもらって、「ニッポン国」を新たに建設したらいいだけの話だ。公平な目で見て、安倍より私のほうが、日本の文化が好きなのである。もう100湖も200湖も湖を見続けてきてなお、私は美しい水を湛える風景を愛している。
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