mixiユーザー(id:6486105)

2015年11月19日12:04

435 view

現代音楽の祭典

 イスラム国に日本人2名が拉致されて殺害された人質事件が起こったとき、連日テレビに「中東調査会」だの国際何とか研究所だのという「研究員」がコメンテーターとして登場し、もっともらしい知識や感想を鹿爪らしい表情で述べていた。内容は普通に勉強した高卒が言える程度の上っ滑りな雑感なので、視聴者の側も安心して聞いていられたことだろう。M7くらいの大地震のあとに解説する地震学者が「この先、1週間から数カ月くらいは余震が起きる可能性があります」と解説したら、聞いてるほうは「1週間と数カ月なら話がぜんぜん違うじゃねえか、それくらいのことなら俺でも言えるぜ」と怒り出す者もいようが、これがイスラム国ともなるとそんな厳しい意見を持つ視聴者は少ないだろう。
 だからなのか、それともそもそもこの手の「研究員」というのはアホなのか、怠惰なのか、怖がりなのか、調査はネットと文献だけで済むものと考えているのか、およそ専門家の技量を有していない。イスラム国のテロ予備軍に取材せよとまでは思わないが、命からがらシリアから逃れてドイツに到着した難民の10人や20人に現地の情報を丹念に聞いてイスラム国の勢力図をまとめるくらいのことはしていい。あるいは関係各位に問い合わせて、米軍が空爆した街に居住している家族に電話取材くらいしろよ、とも思う。年収200万円の非正規研究者ならいざ知らず、日本政府の委託金と政府から依頼された大手法人企業の寄付で運営されているのだから、もう少しましな待遇と給料であろう。
 学者や研究者というのはその地位に就くのが比較的難しい反面、誰でも出来るくらいの軽作業労働である。というか、引っ込み思案で事なかれ主義の伝統を唯々諾々と読み取ってその慣習に染まることをよしとし、KYな発想や行動をとることはいけないと考えている者が多い。人文科学や社会科学のジャンルに於いては、10人中9人は文献学者だ。繰り返すがバカでも出来るお仕事で、幅9ミリのネジを正確に作る技術のほうが100倍難しい。
 今回のパリ同時多発テロでもこの手の研究員が出て来てはもっともらしいことを言う。当たり障りのないことを述べているほうが、テレビ局としてもありがたいという事情もある。「度重なるイスラム国支配地域への空爆で一般住民の死者は1万人を遙かに超えているとも言われているので、こうした状況下から新たなテロ志願者も出て来るだろうと個人的には思います」なんて言おうものなら、テレビの上層部はもとより政府からも「出禁」となり、年度末にはクビを言い渡されること間違いない。無能が生きる道を用意されている、という意味に於いては、この国は恥ずかしげもないホワイトカラー天国であろう。
 ともあれ、テレビをつけるとろくなことがない。
 昨日は夕方になって雨の中を上京。五反田で開かれる「現代音楽の祭典」というコンサートに行った。この1カ月、毎日がケイト・ブッシュというような頭だったので、頭が切り替わったらいいなと思う。
 知り合いの作曲家野村朗氏による「ピアノソナチネ 過ぎ去りし少年時代」、ピアノ倉本洋子の独奏。この曲を含めて全部で6人の作曲家がエントリーしているコンサートで、「ピアノソナチネ」は4番目だ。
 今年5月に同様のコンサートがあったとき、倉本洋子さんのピアノに魅了された。だから今回も行ってみようと思ったのだった。彼女の指にかかればピアノがピアノでなくなり、豊穣なオーケストラに匹敵する音の浪が会場いっぱいに流れる。
 今回もその思いは同じだった。雨のなかわざわざ行ってよかったと心底感じた。
 会場が駅から遠いことや電車の接続が悪かったこともあって、帰宅したら午後11時近かった。が、いい音を聴いたら疲れって軽減されるもんですね。
5 7

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2015年11月>
日 月 火 水 木 金 土
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930