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2015年10月24日21:27

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ソフィ・カルとフジタと

スタンプラリーにつられて初めて敷地全体を廻りました。

もとお城があった高台にあるため見張らしもよく
本当に素敵な美術館だと再認識。

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この秋リニューアルオープンした豊田市美術館。





開館記念展は現代美術です。

ソフィ・カルー
〜最初のとき/最後のとき〜

高い天井の展示室に二段に貼られた沢山の写真。

視力を持たない人たちに

あなたににとって美しいものは何か

と尋ね、答の言葉とともにその人のポートレイトと
答から受けたイメージを写真にして展示していました。

1度も「見た」ことのない人たちとは思えない、その豊かな想像力のバリエーションには驚かされます。

さらにそのうち一人のお答え

海です。視野の果てまで広がる海です

という言葉を繋がりに杉本博司の "海景" とコラボ(タメイキ)。。。

続く展示室の《最後に見たもの》では
辛い気持ちになりましたが

最後のコーナー、 初めて海を見たひとの「最初のとき」で、
スカーフを被り赤ちゃんを抱いた女性の映像に救われました。

深い精神性を感じたあとは
クールな吹き抜けから階下へ降りて
コレクション展へ。

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【展示室8 】

わたしたちのすがた、いのちのゆくえ
〜この街の100年と美術館の20年〜

美術館の収蔵作品と、それらと同時代・19世紀末から
現代までのこの地の人々の写真を並べて展示しています。

ここでは懐かしのエゴンシーレ《カール・グリュンヴァルト》や
ココシュカ、ベーコン、国吉康雄に再会。

1960年代のコーナーでは、高松次郎の "影" や中西夏之の "たまご" が見られて嬉しかった。



【ギャラリー】エピローグ

森本泰昌《駒場のマリリン》や奈良美智、ヤノベケンジ。
若手代表で塩田千春のこんな作品も。
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資料室にも展示がありました。

下道基行 〜ははのふた〜

ここでは1ダースほどの本が並んだインスタレーションがあり、
其々の本を手に取ると、テーブル表面に下道が感じたキーワードが書かれているのが面白かった。

例えば
赤瀬川源平『千利休』→あたりまえの価値を逆転する
鶴見俊輔『限界芸術論』→芸術と生活の間
谷川俊太郎『穴』→古代から人間として変わらない習性
といった具合。




【藤田嗣治】
午後は
レクチャーに参加しました。

講師は現代美術家の眞島竜男さん。

『ラレー街11番地のFujita』

眞島さんといえば、ヴィーナス像に衣をつけて天ぷらにした作品で衝撃的にデビューされた方。

今年の京都パラソフィアでは
様々なアートのキーワードをダイヤグラムで展示されていてなかなか難解でしたが。

今回は藤田嗣治を通じて
近代絵画から現代アートまで解き明かすという個性的なもの。
問題のダイヤグラムも登場し、「よみかた」が少しわかりました。

藤田は
フランスでエコールドパリの画家として活躍したあと
帰国して戦争絵画を描きます。
そのため戦後は批判されて再び渡仏、レオナール・フジタとして生涯を終えました。
遺作は礼拝堂のフレスコ画。

生涯は三期に分けられますがいずれの場所でもそのとき一番ナチュラルなやり方をしていない。

ピカソらの強い絵画の台頭するパリで乳白色の肌を描き

帰国するとベタな油絵で戦争画を描く。

いわば東京タワーとエッフェル塔のように
(そう言われれば、自然なのは"東京塔"に"エッフェルタワー"です)
たすき掛けで捻れたスプリッティングな存在で。

なればこそ、眞島さんはデュシャンの《ラレー街11番地のドア》を用いてフジタを評したのですね。

眞島さんのレクチャーは情報量てんこ盛りで大変ですが実に面白い。

12月からはじまるコレクション展2では
河原温の日付絵画をからめた展示で再び眞島さんのレクチャーがあるとのこと、
都合がつけばまた是非参加してみたい。

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