ありのままで　〜１〜　大きな空振り

4回表、光星は先頭打者を安打で出すと野選と四球で無死満塁とし犠牲フライで同点とした。そして次の打者が内野ゴロに終わり2死2・3塁となった後だ。

打席に立った馬場君は３ボールノーストライクから空振りした。このカウントから打ってくる。その光星の迫力に押されたのか、馬場君をあっさりと歩かせると次の打者の初球がワイルドピッチとなり２−１と逆転した。

その裏、九州学院の先頭は米満君、2ボールノーストライクからど真ん中のストレートを見逃した。その次の打球も真ん中にはいる変化球を見送り、最後は外に流れる低めのスライダーを引っかけて投手ゴロに倒れた。


九州学院は初回から四球、送りバントにタイムリーと効率よく先制し、エースの伊勢君も死球で出したランナーを牽制で刺すなど順調な立ち上がりだったが、この4回の攻防を境に試合の主導権は光星に移った。

5回以降も拮抗した展開が続いたが、光星のエース中川君の変化球主体の投球に九州学院は対応できず、逆に九州学院の伊勢君の投球に対して光星はいつでも打ち崩せるという空気が漂う。

そして8回、光星は先頭打者が出塁し4番の澤田君が送るとその後5本の安打を放ち7点を追加する。しかし、その中に2つの四死球と内野フライ野手2人が取りに行って落球という失策もあった。

その裏、九州学院も意地を見せ1点返してなおも1死1・3塁としたが、捕手からの牽制球で1塁ランナーが刺されビッグイニングにはならなかった。

相手を圧倒する空振りがある。相手を委縮させるボール球もある。点差のない試合の中でそんな少しのプレーがジワジワと相手を消耗させていく。そして終わってみれば９−２・・・・

九州学院は九州王者として甲子園にやってきた。秋からすべての試合で今日の9人のメンバーで戦ってきた。明治神宮大会では仙台育英にコールド負け、そしてこの日も同じ東北勢の光星に大敗した。

この大差は本当に実力差なのだろうか、ボクにはそうは思えない。試合中のほんの些細なプレーが自信となっていくか、委縮となっていくか・・・・たった一度の空振りも、たった一回の見送りも・・・・


九州学院が打ち破らなければならないのは東北の壁とか全国の壁ではなく、自分たちの壁なのかもしれない。開幕試合を見てそう感じた。


また、夏に自信満々で甲子園に戻ってきてほしいと思う。



2015年3月21日　第87回選抜高校野球大会　第1日第1試合１回戦（於　阪神甲子園球場）
八戸学院光星
000 200 070 = 9
100 000 010 = 2
九州学院