ボクは以前金融機関で勤務していた。当然数年おきに転勤がある。
新しい上司が来る。かわいがっていた部下が去る。同期が上司としてやって来ることも、かつて上司だった人が残念な辞令を受けてボクと同じ職場をともにすることもある。
しかし、いずれの場合でも誰もがその場で所信表明を行い自身の意気込みを語る。特に自分の上司が新しくなるときはみんな大きな不安と期待が入り混じるものだ。
ロシア大会を目指すサッカー日本代表の新任監督は急遽異動となり新しい人事発令が出た。
急な人事発令ほど、その初めてのメッセージに誰もが注目し緊張し自分に合うかどうかを判断するものだ。普通のサラリーマンならば・・・・・
今日、新しい日本代表の上司であるバヒド・ハリルホジッチ監督が最初の公式戦のメンバーを発表した。
サラリーマンにとっては初めての朝礼での挨拶であり、政界にあっては施政方針演説のようなものだ。
彼は旧ユーゴスラヴィアの出身であるが国籍はフランスでありインタビューでもフランス語で答えていたことから、親愛なる敬意をこめて彼のことをフランス語読みのヴァイドと呼ばせてもらおうかと思ったが、もうメディアではハリルジャパンとなっているようだ。
まあ、そんな呼び方はどうでもいいが・・・・
しかし、今日ヴァイドは日本語でこんにちはと言って会見を開始すると、そのまま自身で初めての代表メンバーを発表した。すでに報じられているとおりフレンドリーマッチとしては多い人数の召集であり、なおかつサポートメンバーまで加えるというのは彼の強いメッセージを感じた。
自分の目指すサッカーをこれからの日本を背負って立つ多くの選手に伝えたい。そして、遠藤を外した経緯もはっきりと述べた。
彼の日本代表に対する貢献を最大限に称賛しながらも、自分の使命はロシア大会であり、その観点からは遠藤は必要な選手ではないということを・・・・
これを聞いた柴崎はどう思うか・・・・・
チームがうまく回らなくなった時に前回大会での功労者であり目指す大会では戦力外であるはずのベテランを再度呼び戻してとりあえず結果を出そうとする監督がいたとすると、ヴァイドはそれを完全に否定したことになる。
急遽の人事発令によって就任した興味深い新しい上司は、少なくともこの職場のことをかなり調べ上げ研究してきたように思える。そして、自身の方針を最初から強く発信した。
人事発令に対して間違いなく起こること・・・・
それは昇格人事で思いっきりはしゃぎまくっている新しい新任上司の改革意識と現場の限度なく白けきった現状維持体制との力勝負である。
ヴァイドが遠藤を初回で切った。それは、彼が現場にとってどちらかと言うとやりやすい上司ではないことを示した。だが、逆にその上司は極めて興味深い上司であることを現場の人たちが感じたはずだ。
だから、それは何の問題もない。なぜなら、現場にいる人たちは我々のようなサラリーマンではなく勝負師のプロなのだから・・・・・
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