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2014年12月08日09:46

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フォルムの実際 小休止

フォルムの実際 小休止
 ルーベンス編が終わり、次は18世紀。18世紀後半からヨーロッパは激動の時代へと入っていく。そんな血なまぐさい歴史に突入する前に小休止。
 ここで取り上げるデッサンや油彩画の考え方や技法等は西洋絵画の伝統的描法を重視し美術系学校の受験は一切考慮に入れていない。日本の大学システムは受験で選別されるため、受験生は本当に必死で受験デッサンや受験油彩を学んでいる。その気持ちは分かるので、実も蓋も無い事はあまり言いたくはないが、受験デッサンはあくまでも受験用だ。初心者の段階である程度完成度が見えるようなデッサンを描く人は成長しにくく、絵画には向かない。むしろ商業的な世界へ進んだ方が成功しやすいだろう。イラストや漫画、アニメに向いている。一般的に、デッサンにしても、油彩画にしてもそうなのだが、基礎の段階では絵が硬くなる傾向がある。これは、どんな巨匠でもそうで、若い頃の作品はやや硬い印象を持つものだ。だが、これは悪い事ではなく、初期の段階では、むしろ硬いと感じるデッサンを描く方が良い。成長過程と言うものがあり、誰も最初から巨匠のようなデッサンや油彩画は描けないのだ。絵を実際に描かない人には、この成長過程と言う時間的間合いが理解できない人がおり、結果ばかりを問題にしたがる。人物デッサンでも骨格を意識する場合、どうしてもフォルムは硬くなる傾向がある。また立体造形を重視した場合も初期の頃は、むしろ直線的でカクカクしたデッサンを描く場合が多い。これは間違いではなく、直線的に硬くなるように描いているのだ。初期の段階では、曲線はあまり使わず直線を多用する描き方で描いていく。そうするとどうしても硬くなってしまう。だが、それでいいのだ。大きく直線で形を取っていき、その後、直線を細かくして曲線に近づけていく。曲線で一発でフォルムを描くのは、ベテランになってからの話しで、初期の頃はそんな描き方をしても上手くいく訳も無い。クロッキーでは曲線を良く使うだろうが、上手くいった試しがないだろうと思う。そう言う意味で初心者がクロッキーばかりをすると言う訓練法は勧められない。変な手癖が付いてしまうからだ。ベテランでクロッキーを沢山していると言う発言があるだろうが、その裏に、しっかり描き込むデッサンも描いていた。と言う意味が隠れているのを忘れてはいけない。油彩画を描く場合、作業途中で筆を筆洗い液で洗ってはいけない、と先生が注意する。これは正しいのだが、解釈を間違ってしまう初心者がいる。作業中と言うのは、ほぼ1日を指しており、その日の描画作業が終わったらしっかりと筆は洗う。そうしないと筆が絵の具で固まってしまい使い物にならなくなるからだ。常識なので、先生はそこまで言わない。だが、中には制作途中を油彩画が完成するまで、と解釈してしまう人もいるのだ。また、筆洗い液で洗ってはいけないのだが、ペトロールで洗うのはかまわない。その日の制作途中で筆を洗う必要があった場合ペトロールで洗う。つまり、筆洗い液とペトロールの違いを理解していないと先生の発言の意味が分からないのだ。西洋絵画にはこのような無知からくる誤解が頻繁に出てくる。
 線には、直線と曲線があり、線の表情としては、太い細い、濃い薄い等がある。鉛筆1本で、細い太い、濃い、薄いが描き分けられる。重要になってくるのが線を描くスピードだ。早い遅い、そして筆圧のコントロール。スピードを変え、筆圧を変え、曲線を描く。そんな芸当が初心者にできる訳もないので、最初は比較的単純で、スピードや筆圧の変化が少ない直線を多用して描いていくのだ。初心者の段階で巨匠のような絵を描こうとして、絵は才能が無いと描けないと思い込んでしまう人がいる。だれも初心者の段階で巨匠のようなデッサンが描ける訳もないのだ。ルーベンスだってそうだった。オランダ修行の前に描いた絵画は、やはり硬い。努力を重ね、描き続ける事で徐々に柔らかく表現力豊な作品となっていく。この成長過程を無視してはいけない。どんな人であろうと、絵を描き続ければ、学び続ければ、ある程度まで描けるようになる。問題は、そこから先に行けるかどうかだ。ある人は、人の3倍4倍の努力をしてその壁を超えたり、ある人は人生の何かを失う事でその先へ行くパスポートを手に入れたりと、普通の事をやっていては進めない領域がある。その手前で多くの人が苦悩しているのだが、自分でも、そこそこなのは分かっている所へ、酷い事を言われると本当に凹んでしまう。重要なのは、自分の絵の善し悪しを客観的に判断できる事だ。自分のデッサンや油彩画の問題点を自覚できないと修正もできない。悪い部分を少しずつ修正していき、自分のイメージにマッチする作品に仕上げていく。自分で自分の作品を添削できないと成長していかないのだ。本当に良いと思えば、他人が何を言おうが気にならなくなる。自分でも、どうかなと思っているから、人から悪く言われると腹が立つのだ。愛情の無い批判にさらされて酷く落ち込む事もあるだろうと思う。それでも、結局自分で自分の作品を作り上げていくしかないのだ。絵画制作は孤独な作業だ。
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