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2014年12月01日10:02

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フォルムの実際 ルーベンス 西洋絵画のデッサン

フォルムの実際 ルーベンス 西洋絵画のデッサン
 ルーベンスには多くのデッサンや色彩粗描が残っている。出来があまりにも良いので保存されてきたためだろう。作品として見ても完成度が高い。気に入ったデッサンにはサインも入っている。左の画像は、フランダースの犬と言うアニメによって日本で有名になったキリスト昇架のデッサン下絵だ。まず作品の構想を練り、大体の構図を決めるとモデルを使ってデッサンをする。本作品にも、ほぼ同じフォルムで描かれている。だが、作品全体の光の方向性や演出による調子の変更が至る所にされており、影もコントラストも変えられている。もちろん顔の部分はキリストに変更。体と顔を別々にデッサンして合成する事も良くあった。調子や影、コントラストの変更は、フォルムが決まってこそできる作業であり、その意味でもフォルムを決める事は非常に需要なステップとなる。中央のデッサンは、手の方向をいろいろ試しているデッサン。演技指導のようなものだ。クロッキーのように線でフォルムを取っている部分とデッサンのように描き込んでいる部分が同居している。下絵独特の描き方になる。こういった部分デッサンは、画家は良く行なっていた。特に手の表情は作品の出来を決める程重要なので力を入れる部分だ。ハーフトーンの紙にデッサンを行ない、そこに軽くホワイトでハイライトを入れている。ルーベンスのデッサンの特徴は、線の表情が非常に豊な事だ。西洋絵画の伝統的描法はしっかり踏襲しながら、線に実に多彩な表情を与えている。形を取る作業と表情を描き分ける作業を同時に行なっているのだが、凡夫は力が十分付いていない段階では真似をしない方が良い描き方だ。脳の中に、3Dでモチーフをイメージ出来るようになれば、デッサン用紙の上にその画像が浮かび上がってくるようになる。そうなるまでは、このようなデッサンは描けない。初心者は、しっかり比率を測り、当りを付けて、少しずつ描いていく方が良い。当たり線は、後で消せば良いのだ。けっしてスマートな描き方ではないが泥臭く描いていくのが凡夫のやり方だ。自分の力を過大評価してしまっている人は、巨匠の真似をしたがる傾向があるが、成長を阻害する原因にもなる。いきなりこのレベルのデッサンを描くのは無理なので、少しずつ階段を上って行くように訓練を続けた方が確実に成長する。日本のデッサン法では、西洋絵画の伝統的描法は教えられていないので、先生でもこのようなデッサンを描ける人はあまりいない。日本のデッサン教育の問題であって、先生の能力の問題ではないので誤解しないように。最初から西洋絵画の伝統的描法を学んでいれば、ルーベンスに近いレベルまで行けた人も存在したのではないかと思うが、到達目標の低さや、西洋絵画の伝統的描法への無知も相まって能力を十分生かせていない人も多い印象だ。考え方や意識の問題で基礎的な能力の問題ではない。西洋絵画の伝統的描法を学んでいる人達の中には、高い水順に到達している日本人も出てきているので、西洋絵画の教育に問題があるのではないかと思う。右のデッサンは良く知られた子供のデッサンで、そのアップ。アップにしてみると、薄らと消した当たり線の後が見える。最初に、薄い線で、全体の形を取り、その後、描き込んでいたのではないかと推察する。簡単に描いているように見えるが、逆光の部分等は、描いて消してを繰り返して表情を出している。ここまで繊細な筆致でデッサンを描く画家も少ないだろう。西洋絵画はけっして乱暴な筆致で描く絵画ではない。印象派以降の荒っぽいタッチが油彩画だと思い込んでいる人も多いだろうが、西洋絵画は、本来決して乱暴な筆致の絵ではない。むしろ、繊細過ぎる程繊細な描写を多用する絵画でもあった。このイメージの違いをしっかり認識する必要があるだろう。
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