どこへも行けない切符をポケットに入れたままパレードを待つ #短歌
捕まえ損ねた光の粒が夜の空 跳ねて星座になっていくから #短歌
水の仲の手紙のようにひるがえる青のつづきは風の匂いで #短歌
クリームソーダの夢ドリガすこし深くなるまで待っていてくれるか #短歌
重ねた毛布のなかに眠る体温のしずけさのなか夜のつづきを #短歌
キャベツでは違う気がして引き返す ひるまのにおいがまだすこしする #短歌
窓ガラスすこし曇って手のひらでなぞる未来のひそかな地図を #短歌
ほどけないリボンのように結ばれて眠る気まぐれな夏の夜の夢 #短歌
光の届かない踊り場でふと立ち止まるような真夏の朝 #短歌
時計の針を外してしまえばどこだって行ける気がした午前二時 #短歌
すれ違う影に名前をつけたくて振り返るたび通り抜ける風 #短歌
エスカレーターの終点みたいな顔をして地球は今日も回っている #短歌
スーパーの袋を揺らしふたりして遠回りして帰る夕暮れ #短歌
水音のなかでまぶたをひらけばうすぐらい部屋の青い天井 #短歌
シャンプーの泡の王国でおそるおそる宇宙を見るよ一瞬だけは #短歌
おはようって言うその前のひとときの魔法みたいな君の横顔 #短歌
冷蔵庫の奥で冷えた永遠をひとくちで噛むスプーンの音 #短歌
水たまりのなかの空気をそっと踏むように守っていくの不確かな日々 #短歌
小さな部屋の片隅で息をする 窓の向こうの鳥の羽音よ #短歌
自販機の灯りが夜を継ぎ足して缶コーヒーだけあたたかかった #短歌
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