断水のチラシを冷蔵庫に貼る 赤ちゃんが立った日の緑色として #短歌
吐き出されたあたしを拾うためのティッシュが白くて世界ではない #短歌
かゆいところはありますがって聞きながら夏の背中をそっと探してる #短歌
だまれない舌を持つから今日もまたあなたによけいなことを言うの #短歌
黴びない舌ひとつ抱えて夜の底 言葉はいつも生きたままです #短歌
雨あとの匂いをきみが深く吸う 底で世界は詩になりはじめる #短歌
明日という遠い星までぬるいビールをひとくちずつ手渡してゆく #短歌
ぬるい泡ひとつ分け合う夜の端 本当のことは明日へ置いて #短歌
ぬるいビールを飲んで帰った 昨日話すはずのことを冷蔵庫に入れた #短歌
クレヨンの水色だけが短くて夏の匂いをまだ持っている #短歌
あきらめは才能じゃないと言うたびに靴底だけが減ってゆく午後 #短歌
消しゴムのかすを集めて昼休み やさしさだけじゃ足りないと知る #短歌
頭蓋骨かもしれないものを見て欲しいと言えるあなたのやさしさ #短歌
最後かもしれない夜にお代わりを頼める君とまだ生きていたい #短歌
朝になりカーテンを開ける君の目は夜の続きをまだ見つめてる #短歌
最後の晩餐みたいな皿を前にしてお代わりの分の財布をひらく #短歌
まずいねと笑って飲んだ鬼ころし あなたとならばそれも思い出 #短歌
心が壊れても起き上がるんですね それはちょっと頑張り過ぎじゃないですか? #短歌
資格ふたつ持っているのに何者にもなれないままでアプリを閉じる #短歌
わさびさえ分けてあげたいあなたへと箸の先から熱を伝える #短歌
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