9月15日、くもりときどき小雨
午前10時に病院の予約が入っている。昨日の採血結果を踏まえた診察と薬の処方。
病院には9時55分着。
しかし診察開始は約30分待ちの10時半だった。
検査結果は思わしくない。期末テストの出来が悪かった、というような劣等生気分に陥る。医師から「次回の検査で数値が悪いようであれば薬の量を増やしましょう」と告げられた。
その足で薬局に赴き、処方薬を受け取って帰宅。検査料と診察料と薬代を併せると5千円ちょっと。3カ月に1回の通院だから、年相応の病院代ということになろうか。これに加えて眼科には年平均3回、通っている。
帰宅後、何度も検査結果を眺めてため息をつく。
午後1時前に家を出て横浜の関内駅へ。
現地の画廊でひとり出版社の代表と待ち合わせ、という約束だ。
展覧会では彼も私もまったく心が反応せずだった。が、そもそも彼の目的は私と会うことだったようだし、横浜の安い昼呑み酒場でビールをあおりたがっているのがありありとわかる。
私は下戸なので、安い居酒屋は知らないけれど、安全なエリアの良心的な酒場であればだいたいは見当がついている。なので、伊勢佐木町の外れにある割と目立った老舗酒場へ彼を連れて行った。
店内の壁に貼りつけられているメニューを見てひと安心。
彼は焼き鳥6串セットと生ビール(お替わりを含めて2杯)、私はたこ焼きとコーラを注文した(お勘定は2千円ちょっと)。
互いの近況報告をしながら、共にため息をつく。老化現象で心が削られ、若い頃と較べて人生の醍醐味がなくなっている現状についてだ。
いつもは文学の話が中心なのだが、今回は意外な話で盛り上がった。
彼はギターを2台持っているという。
お互い、フォーク世代なので、私も中高時代はギターをそれなりに鳴らしていた。
「ギターの他に楽器、なんか持ってる?」
自宅には電子ピアノがある、と彼は答えた。
実は私も77鍵の電子ピアノを持ってる、というところから話が広がり、小学生時代にピアノを習っていた、と私が言ったら、ソナチネまで行った?と。
いえ、ツェルニー30番のはじめでピアノは止めた、と答えた。
ラフマニノフが好きだというと、彼はピアノコンチェルトではなく交響曲第2番がいい、と熱い口調で言う。よし、YouTubeで探して聞いてみよう。
1時間半くらい経ったところで飲み屋を出て、裏横浜散歩をすることに。
で、都橋商店街にかかったところで、彼はその風景に感動し、写真を撮ろうとした……。
バックのなかにカメラがない。
間違いなく画廊で写真を撮った、と彼は言う。
額から脂汗が流れている。焦っているのか、スマホでどうやって電話を掛けるのか、わからない、と落ち込んでいる。
仕方がないので、私が自分のスマホで画廊に電話をかけ、相手が出たところで彼に替わった。
画廊に置き忘れていて、預かっている、と。
彼から感謝されたのは初めてか(笑)、
もう一度関内に戻ることにした。
しかし、彼はひどく落ち込んでいた。
気持ち、わかる。
古希を過ぎるとこういう失態はこれから先、いくら注意深く行動していても増えていくだろう。
腹を割って話したことで、彼も私も老いることが苦手であることがよくわかった。
友だちは5人いればいい、と彼は言い、その一人に私が入っていた。
これだけで本日、横浜に行った甲斐があった。
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