自販機の青に染まりつつ歩けば言えないことも影になりました #短歌
越えなくていいものもある 夕焼けがみんなの背中を同じに染める #短歌
世界とは届かぬ場所を指さしてやさしく説明されるものかも #短歌
反射率だけ更新されてゆく 夜のスプーンにログインできない明日 #短歌
何も救わぬままで終わるならその夕陽が僕らを焼き尽くして #短歌
窓辺からこぼれた光が胸を打ち スプーンは黙り続けていた #短歌
まともなふりをするのにもう疲れたから僕の形を忘れてほしい #短歌
乾かない床をみているそのことと自分を責めることは別なのに #短歌
「身代金いくらにする?」と問いかける僕らの世代の安い誘拐 #短歌
口座の数字が減るたびに僕は少しずつ消えてゆく #短歌
床が濡れ続けるように繰り返し同じことだけ考えている #短歌
コンビニの白い蛍光灯の下 雨と感情だけが閉店しない #短歌
足跡がゆっくり消えてゆく床にやさしい失敗だけ残される #短歌
重さとは落ちるためではなくたぶんそこに在ることの証明である #短歌
てのひらに乗せてみたくて夕焼けを見ている鳥の影が横切る #短歌
好きという気持ちがもしも軽量を許されるなら世界は変わる #短歌
塗り重ねるたび曖昧になるものとようやく見えるようになるもの #短歌
核心はずっと机の真ん中に置かれたままで誰も取らない #短歌
魚でも星座でもある君なのに会えば普通に天気を話す #短歌、
そのさくらんぼだけは残しておこうか 明日なんて誰にも来ないんだから #短歌
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