その過去形(ことばではみ出したあなたの涙を拭うための静かな夜の光 #短歌
「愛してたの「た」が真っ赤な鳥になり僕らの部屋の時計むさぼる #短歌
振り上げた水筒が真っ赤な鳥になり僕らの部屋の重力を食う #短歌
ピンク色した内臓を抱きしめて朝を待ってる私の部屋で #短歌
ファミリーマートの明かりの中で爪を切り誰のことも傷つけない僕 #短歌
ピンク色にひかる血管透き通る わたしの奥まであなた入って #短歌
消火器のピンを抜くよな手つきしておやすみなさい正義のみなさん #短歌
「火だるまのドレスで踊ろう」って言ったきりの天使がベランダにいる #短歌
トースターの奥で焦げてゆく食パンをただ見つめてる静かな朝だ #短歌
目覚めればシーツの海に広がった赤い血のようなジャムを舐めてる #短歌
終演のチャイムが鳴って僕たちはファミレスの席を動けずにいる #短歌
「そのセリフ誰の台本?」ケチャップで汚れた嘘を咀嚼している #短歌
言い訳をきれいに並べたお皿から片付けてゆく僕たちの恋 #短歌
舌のうえで転がすだけの言い訳を飲み干してからひらく唇 #短歌
壊すしかやることがない僕だからあなたを愛して傷つけてしまう #短歌
消耗品として生きのびる僕たちを指のささくれが静かに嗤う #短歌
ポケットに宇宙を飼っている君のまつ毛のさきで燃える火の鳥 #短歌
生活がめんどうくさい僕だけど君に会う日はお風呂に入る #短歌
「健康増進法」と書かれたシールの下で狂ってる #短歌
火をつけ合うとき一瞬だけ天使の羽が焦げるにおいが #短歌
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