ぬれたままあなたの湿度を思い出すすこし苦しいあさが嫌いよ #短歌
食べられないラー油のあかい熱量 君のうなじを汚してみたい #短歌
(ここからが底です)という張り紙もなしに重力だけがふえる #短歌
きみの肺まで満たしてだいじょうぶ 光る魚が泳ぎだすから #短歌
たたまれたいのちの端に触れぬまま 受話器の向こうやわらぐ雨音 短歌
言いそびれたのはきみのな かゆいところを指でなぞった #短歌
完璧な欠片を抱く サヨナラの代わりに虹のドロップを舐める #短歌
痛いのは「私」であって「体」ではない 蛇口がひどく冷たい事実 #短歌
雨粒の数だけ黙る約束を交わしたような午後の体温 #短歌
垂直に箸を立てれば街中の雨が静かにやむような午後 #短歌
殴り返してうつくしくなるあたしこそ この地獄での唯一の神殿 #短歌
急にホラー 干したばかりのシーツから白以外の色が漏れだしている #短歌
垂直にひかりは降りる 手放した青が空へと還ってゆく朝 #短歌
光を放つたびきみの不在が鉄の匂いが胸を刺す博物館 #短歌
からまってほどけなくなるぼくたちはきれいな銀のくずかごになる #短歌
(ジョシコウセイ)という外装の一部としてかかとは平たく維持されるべき #短歌
ひまという名前の鳥が肩にいてときどき羽を繕っている #短歌
「コスパいいっすね」と言って身をよじる僕らの愛の薄っぺらさよ #短歌
この服を「贅沢」と呼ぶそのあとの、(かっこ)のなかの濁点的な #短歌
砂浜の定義をわずかに踏み越えて波という名の反復記号 #短歌
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