水無月のきみのポケットぬれていてチケットの端がやわらかくなる #短歌
書けなくてよかったこともあるようなやさしいままで花はひらくよ #短歌
両手にはまだ早いけど抱き寄せる名前の前のやさしい気配 短歌
濡れた鍵ひとつで夜をひらくたび 行き先だけがまだ決まらない #短歌
粗大ゴミシールの色が明るくて過去に貼るには似合いすぎてる #短歌
見ないでよ借り物みたいなその顔でほんとうのこと言えなくなるよ #短歌
灯りにも影にもなれず立ち尽くす それでも朝は同じように来る #短歌
証明ができないことを抱えつつ ここにいるって言ってみたくて #短歌
まだ呼ばない無花果の名を置いたままぼくらの季節だけが先に行く #短歌
触れないままで共有されるもの 痛みのかたちが似ているだけで #短歌
こわれてもいいとどこかで思ってた やらかいまま朝にまぎれる #短歌
ごく薄いベーコンのような言葉でも重ねることであたたかくなる #短歌
流れていくものばかり可視化され残る温度は言葉にならない #短歌
ねえなんか今日ちょっといい感じかも 靴が軽くてどこでもいける #短歌
ひかり降るゆめのほとりにさきほこる 死なない花をそっとかざるね #短歌
宴会で完成してる人格を翌朝きっと回収しきれず #短歌
無賃乗車女 見つからなければ物語にならないままで過ぎてゆく #短歌
ねえこれってほんとに死んでる人かな くるくるしててあったかいけど #短歌
自由ってほんとはだれの所有物 触れた指だけが考えている #短歌
あおぞらに深さがあると知るときに落ちた音だけやけに響いて #短歌
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