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2026年04月05日15:42

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骨付き鶏と松浦理英子と遊行寺

 4月4日土曜日と4月5日日曜日。
 午後4時45分の待ち合わせで横浜の骨付き鶏料理店へ。友人夫妻と会食の予定が入っていた。ちょい早めに家を出て、横浜駅から少しく離れた珈琲豆の専門店に寄る。あらかじめ電話で予約しておいた。私の好みは浅煎り一択で、濃い紅茶くらいの色合いとフルーティーな味でいただく。一般的な珈琲とは見た目も味もまったく違うのだが、このような浅煎り豆というのはまず手に入らない。贔屓の店は焙煎を指定できるので貴重な存在である。
 定刻5分前に骨付き鶏店に着いた。既におふたりは来ていた。
 中学1年時に丸亀本店(香川県)で初めて食べた時の感動はいまだに覚えている。独特の味つけに惹きつけられたが、それ以上に鶏肉自体の美味しさに参ってしまってこんにちに至っている。
 4人で話は盛り上がった。店内は2時間制限がある上に、行列ができていて、早々に切り上げ、場所を替える。が、土曜日の横浜駅エリアは渋谷や歌舞伎町以上に往来する人が多くて、2軒ほど喫茶店を覗いてみたのだが満席だった。結局、マクドナルドに。座れただけでラッキーだと言える。
 政治観と人間観が近いと、気分が楽だ。心理的な対立というのがまず生じることはない。
 午後9時過ぎにお開きとしたが、それは彼らが距離的に50キロ超の東京都民で、帰宅時間がそれだけ遅くなってしまう、という気遣いだった。お互いの愛読雑誌MacFanの休刊とか、話題はあったのに時間切れ、
 昨日については、もうひとつ書き残しておきたい事項がある。
 朝、半分眠っているぼんやり頭で新聞を開いて、どの記事も適当に流し読みをしていた。
 読書欄の下にあった新潮社の書籍広告に松裏理英子の名が目に入った。書名は『今度は異性愛』。著者新境地の長編、というキャッチがある。
 松浦さんが異性愛? 彼女はデビュー当時からジェンダーを超えた”不思議ちゃん”で、異性にまったく関心を払う気のないひとだった。といって同性愛者ではなさそうで、しかし性に嫌悪感以上の悪感情を抱いているひとでもない。
 私が30歳の頃、インタビューする機会を得た、話を聞けば聞くほど、当たり所のない沼のような頼りなさを感じてしまった、という記憶がある。ジャン・ジュネや稲垣足穂が好きと言われても、私にそっち系への深い理解がないので、きっと彼女にとって私は退屈なインタビュアだっただろう。
 が、それから何日か過ぎた頃、私は彼女と夜のドライブをした。どういういきさつだったのか、まったく覚えていない。そもそも、彼女は異性に対して100パーセントの無関心で、私は仕事上で知り合った人に邪な考えを持つタイプではまったくなかった。更に、話が盛り上がった関係でもない。
 絶対に交らない線、平行でさえない線なのに、なぜ夜のドライブをしたのだろうか?
 目的がわからないし、ドライブについて双方が同意したという理由がないのである。
 松浦さんは不条理を描く作家だから、リアルな生活でも不条理をよしとしたのかな。
 私は私で、彼女の不条理観に自分が役立ちたいと思ったのかな。

 今日は今し方近くを散歩した。いつものコースにある教恩寺を訪ねた。
 半分いたずら心で呼び鈴を押した。共同墓地について訊きたかったからだ。
 品のいい老婦人が玄関から出て来て、説明を受けた。
 そのあとの会話で、婦人が「うちの主人はここに帰ってくることがあまりありません」と言われ、「いまは遊行寺(時宗の総本山)にずっといます」と。
 法主?
「はい、そうです。3年が経ちました」
 びっくりだ。
「田舎の市会議員がいきなり総理大臣になっちゃった、みたいなもんですね」
 老婦人は「お上手は喩えですねぇ、その通りになってしまい、私も不思議な気がしてます」と答えられた。
 一遍上人の伝記や教えを学んでみよう、とマジで嬉しくなったのだった。

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