3月21日土曜日。快晴。
午後4時の時点でスマートウォッチの歩数は2千歩だった。
午前中、庭の掃除をしたあと、ついでと言っちゃなんだがお堂周りの落ち葉と枯れ枝を手で拾い集めて山へ捨てに行った。ちゃんと動き回ったのはこれだけ。
散歩に出る。あてはない。
滑川の川べりに一本の桜がある。木の前のお宅はよく知っていて、お婆さんが足を引き摺りながら玄関前を掃除していた。
「お元気そうですね」とご挨拶。
で、桜の木を指さして「一輪しか咲いてないので、連休が終わったあたりから開花ですね」などと言って、「満開になったら一本くらい枝が欲しいな」と笑ったら、「持って行って! そもそもアキラさんが30何年前に植えた苗木がここまで大きくなったんだから」と。
我が庭はそのアキラさんに年に一回、剪定をお願いしていた。
来週、こそっと花泥棒をしてみっかな(笑)。
観光客が多いところは行かないとして、桜はどこにある?
「教恩寺」に向かった。珍しい時宗のお寺で、かつて源平の合戦で敗れた平氏の重衡が鎌倉くんだりまで連行され、ここに幽閉されたという由緒がある。1年後、京都に連れて行かれて斬首されたのだが、その間、お世話をしていた美女と恋仲になったという話が伝わっている。
総門をくぐったら私が「通せんぼの桜」と呼んでいる桜がある。主幹が歪んで参道を遮っているのだ。
注意深く観察すると、既に幾十も開花している。
こんな小さな寺はガイドブックはもとよりSNSでも情報がないだろうから、よほどの鎌倉通でもない限り、参拝客はほぼいない。
いつ訪ねても土に掃き跡があるほど、境内は掃除が行き届いている。
静謐なたたずまいが心を鎮めてくれるようなので、毎週のように通っている。
ちょっと遠回りをしてうちに戻る。途中、古くからある画材店の前に近代美術館鎌倉別館の案内ポスターが掲示していた。
ほぼ白一色で構成された絵に「あわいのほとり 福田尚代」と印刷されていた。そう言えば1カ月前にもこの絵を見て、行ってもいいかな、と思った。私は白一色、黒一色のようなコンセプトの絵が好きなのだった。
しばしポスターを眺める。
会期末まで2カ月近くある。
行こう、行ってみよう。
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