使われず角の丸くなった石鹸は冬の終業をまだ信じてる #短歌
輪郭ってたぶん後から追いついて現実だけが先に動くよ #短歌
敬語だけ上手になってく夜がある 本音の位置がわからないまま #短歌
脱いだあと空気がひとつ残ってて誰でもないをかかえて帰る #短歌
ポケットで黙ってる熱が確かすぎ 言わない選択今日を守ってる #短歌
謝罪って外に出したら丸くなり戻らないことちゃんと知ってる #短歌
でかいまま抱えた主語が邪魔をして影のほうだけちゃんと進める #短歌
活かすのも殺すのもって言いながら自分の水を先に飲む夜 #短歌
母音だけ集めてしまう静けさで声にならない重さ抱える #短歌
光より遅くていいと知る夜に体が書いた小さな署名 #短歌
言葉まだぬくもりを持ち沈む夜 水は答えを返さず揺れる #短歌
体温の差だけ数えて黙る夜 並べた星に触れずに帰れる #短歌
引き算のあとに残ったあたたかさ 名をつけないで手渡せる人 #短歌
軸だった だから重さを持っていた動かぬままで夜を通して #短歌
心臓があたため役を引き受けて言えない名だけ生かしてる夜 #短歌
濡れたまま骨を数えて立ち止まる 帰る場所だけ未記入のまま #短歌
おもろいと思ってしまうその癖が人を人へと何度も戻す #短歌
起きなくていいって文字を消しながら夢と現実はんぶんこする #短歌
ひび入る空気を選び歩くひと ハイヒールだけで冬を知ってる #短歌
ポケットの奥で拳が考える 出さないことで守れる熱を #短歌
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