体温の行き場がなくて黙る午後 言葉は全部 内側を向く #短歌
逝く冬を背中に受けて歩き出す その香りだけ少し先を行く #短歌
秘密だよって言われると開けたくて 音のないベル 胸にしまった #短歌
まだ熱い指の記憶でまばたきし 起きる理由を作らずにいる #短歌
帰らない今日の置き場所探してる コップの底に時間が溜まる #短歌
目を閉じる 息をそろえる それだけでちょっと救われる 何もいらない #短歌
言わないで一緒にいるの夜がいい まぶたの裏でやさしさ育つ #短歌
触れずともここにあるって知っている 暗さのほうが先に息する #短歌
ネオンより遅い約束来ないまま 煙はしってる座標のゆれよ #短歌
負けるのを予定に入れて眠る夜にも都合いい夢を見るのね #短歌
涙拭くティッシュの音が大きくて言わないほうがちゃんと深いよ #短歌
マッチングアプリが怖い 顔よりも既読の速さ 人を名乗るん #短歌
数だけをならべたあとで気づくんだ 声はいつでも減らないほうだ #短歌
触れた瞬間居場所になるって思い込み水はすぐまた別の手を探す #短歌
甘いまましまっておくって選択を覚えた舌が静かに大人 #短歌
胸の奥 風が描いた余白だけ まだ誰でもない朝のひかりに #短歌
手を洗い落とせなかった温度だけここにいる意味静かに増える #短歌
折り目からやさしさ出てる気がしてる 起きなくていい朝もあるって #短歌
そのままで触れずにおいた傷の名を朝は知らないふりで通れる #短歌
掘り起こす手のぬくもりが先に来て冬は理由をあとからつける #短歌
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