戸は閉じて名だけが外に滲み出る踏まれぬままの白の真実 #短歌
飲み込んだことばは夜の栄養で減ってく闇が少しやさしい #短歌
待つ側になってしまった午後だから椅子が世界を先に休ませる #短歌
欲しかった空は在庫切れ それでも似たような青を袋に入れる #短歌
散歩にはならない距離を往復し撫でられる前のため息が吠える #短歌
玄関で箱の温度を確かめる受け取る前の名前のなさを #短歌
鍵束の重さに夜が戻ってきて出なかった影も一緒にしまう #短歌
薄着って言い訳みたい夜のベンチ冷たいほうが正直だった #短歌
冷たさもちゃんと今だと分かるからスプーンの先で探す喜び #短歌
触らないままがいちばん強いって雪が言った気ちょっとした朝 #短歌
一等賞欲しかったのに拍手って行き先全部消す音だった #短歌
数えずに残した沈默胸に置き忙しさから一歩ずつ降りる #短歌
予算って言葉が先に泣きを切る 現実だけが無限で怖い #短歌
さわったら、あ、もう違うってわかってて願いはいつも質感派なんだ #短歌
消せたのにあえてそのままにした跡 選んだ自分がちゃんと残った #短歌
造花めく潔さだけ残したら触れられぬまま季節を越える #短歌
我が連れむ胸に置きつつ夜を行く道の静けさ重さとなりて #短歌
笑い方忘れたままで語尾だけが先に大人になってしまった #短歌
保存したままの言葉が夜になる 読まれないまま光ってるだけ #短歌
もうコケてるってわかったんだけど最後まで聞く人になった日 #短歌
★
ログインしてコメントを確認・投稿する