家という殻の内側冷え残り嘘が静かに息を整え #短歌
振り向けば名を持つ前の影は消え花は距離だけ覚えて咲くよ 短歌
行かなかった映画の帰り道までも一緒に笑う妄想をする #短歌
もう平気って歴史が言ったらこわいから乾く手前の色を見ている #短歌
時給って書いてあるけどこの時間だれの人生かまだ決まってない #短歌
まだ誰も呼んでないのに玄関に白い返事がまだ積もっていく朝 #短歌
飲み込んだ言葉の数だけゆっくりと皿に上から夜が減ってく #短歌
あちらよりこちらが待ってる気がしてる椅子の数だけ部屋は彼岸だ #短歌
翼をくださいって言ってた頃と違う飛び方を売ってる味がする #短歌
ペット可と書いては在るがこの職場飼われているのだれの時間だ #短歌
呼ばれずに光る通知を伏せたまま祈りはいつも置き配で来る #短歌
鍵を持つ意味だけ増えて帰るたび家出はいつも途中で終わる #短歌
汗のあと床に残ったぬくもりを友情と呼ぶ夜の静まり #短歌
ついでって言い方が先にあって削られたのは体温だった #短歌
息ひとつ置かぬ間にさえ降り積もり触れぬ決意を雪が守った #短歌
一等賞と言われたとき出口なく拍手の中で立ち尽くしてる #短歌
言うようでやめたことまで数えたら世界はたぶん忙しすぎる #短歌
泣く場面増えすぎたから削られた現実だけが予算を知らず #短歌
触れた瞬間もう違うこと感じてた 願いはいつも手触りで知る #短歌
もう一度擦れば消えるはずの跡 消えないほうを選んでしまう #短歌
冗談と言えは許された時代の語尾だけ残り今を歩いてる #短歌
届かないまま保存した一行が夜の画面で静かに崩れる #短歌
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