冷えた家 レタスの芯に触れた指 きょうの中心そこにあったよ #短歌
夜を割り指で結んだふたつ星 迷ったときは空をひらけよ #短歌
嫌うほど近づけなかっただけのこと 揺れない裾が目にまぶしくて #短歌
残された意味を探して見つからずリボンの青学午後を黙らす #短歌
探すほど名前失う残りもの 結び目ひとつ光を抱いて #短歌
その笑顔 蛇口をひねる合図みたい 沈黙の奥で火は瞬いた #短歌
人生の脇に置かれた椅子のよう浪人たちはそこで息する #短歌
帰省時の龍は降りずにただ耐える 巣とは時間の折り目のことだ #短歌
霧深く友なき道を行くひとは夜を重りに前へと進む #短歌
絵に描いた負けほど今日をよく映す ひらいた傘に雨はまだ降る #短歌
触れたなら終わると知って花はまだ光の端を指に残した #短歌
そういえば会話は少し軽くなる ない店の名で夜がつながる #短歌
電話口ため息だけが先に出て その日の汚れその日のうちに #短歌
泣き跡を覚えてくれる縫い目かな 人に戻るまで置いてある場所 #短歌
どちらでもないまま今日もあくびして世界を半分信じてる顔 #短歌
通知より大事なものが床にいる名前を呼ぶとさらにかわいい #短歌
あとからの不安を知っても手を伸ばす 今を生きるってだいたいこれだ #短歌
縁がないことに慣れずに減速しそれでも前へ曲がってしまう #短歌
初夢をカウボーイだと願うのに布団のなかで拍手はならず #短歌
帰るまで波はそのまま待っている砂に覚えた立ち方のまま #短歌
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