ここだけの話といえば夜の雨 靴音だけが先に帰った #短歌
減速の文字を抱えた夜の道 生きてるほうへハンドルを切る #短歌
ゆりかごにならない胸を揺らしつつ眠らぬままの悪意も育つ #短歌
返したらすこし落ち着くフライパン怒りも今日は丸く焼けたね #短歌
手を止めて砂から顔を上げたとき潮の時間が空へ逃げてた #短歌
つなげれば大陸説になる皮膚を笑ってほどく夜のぬくもり #短歌
空腹と理性が棚でにらみ合い値札の赤が血の色をして #短歌
百合の夜嗅ぎ分けるほど持ち慣れて終電の色に身体を寄せる #短歌
うまく泣く練習なんてしないまま服の内側で熟れていく声 #短歌
誓いってそんなに軽く言うんだね 風化の前で目をひらく君 #短歌
かなしいと言える速さで失われページの奥で色だけ残る #短歌
倒れてもしわになっても旗は旗 風のなかから思いだす空 #短歌
「あなたのため」白くて重いその幕をくぐるたびに少し前息が遅れる #短歌
霜の字をなぞるみたいに指に置く 起きれば朝がひとつ減ってる #短歌
ささくれを避けるみたいに生きていてそれでも青は爪に残った #短歌
戻れない白があるって知ったとき ポケットの雪溶けて許すよ #短歌
触れられず透明なまま泣く口に息だけそっと預けて眠る #短歌
思想書を積まずに眠る夜があり理想の外で息が合ってる #短歌
待つことで発車をしない駅となり あなたの時間を灯していたよ #短歌
バカと言うその声だけが辛くなる 皿は無罪で水を呼んでる #短歌
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