二度鳴らす唇だけが覚えてる崩れたあとも呼べる名前を #短歌
分け合えば足りるはずでも選びたいおにぎりひとつ君と噛む音 #短歌
見えなくていい瞬間があるように足を置くたび地球は黙る #短歌
笑う夜 父の背中に赤い紐 冬の炬燵に味噌汁の湯気 #短歌
ストーブの匂いと冬が部屋にいる まるくなる猫本閉じる僕 #短歌
冷めていく舞台の皿に雪ひとつ減塩の夜を噛みしめている #短歌
かあさん煮さめないように抱きしめて少し泣きたい夜ってあるよね #短歌
一手目を躊躇うほどに近くなる触れない点が中心になる #短歌
中指の先に星置くやり方で別れはいつも簡単になる #短歌
レース越し世界を全部抱え込む犬の静けさ祈りに似てる #短歌
返さない手のひらだから残ってるぬくもりだけが先に伝わる #短歌
小さくて足りている日に慣れながらふと咲くことを否定しないで #短歌
老いてなお伸びる芽のよう静かな日 猫は光を遠出させない #短歌
伸びているわけじゃなくても長くなる病室前の気持ちの距離が #短歌
緩んだ目まぶしさだけで整えて朝は説明しないで進む #短歌
葉をめくる指がまじめで黙ってる合否は鍋に持ち越されてる #短歌
まばゆさが過去を責めずに照らすからこうあればよしと踊れてしまう #短歌
ごめんねが先に咲いてて花言葉余らせるくらいが生きやすいです #短歌
寒波でも光はやさしすぎるほど向かう理由を包んでしまう #短歌
呼ばれ方ひとつで宇宙ずれるならぼくも今日から別の名で立つ #短歌
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