泣き顔の向こうでやさしく息を吸う 奏者は静かにアコーディオン抱く #短歌
お肉待ち並んだ皿のひらぺったさ 待つことさえもごちそうみたい #短歌
離れゆく声と思いがそろわない俯くたびに鬼百合ひとつ #短歌
それはとて声を置き去り止められぬ 静かに冬の水面は眠る #短歌
たしなめる声のひびきが闇にさす 客席だけが先に息つく #短歌
殴っても怒らないって言うけれどわたしの方が痛くなってる #短歌
折れ曲がる影の囲みで息つめてヴァイオリン弾く夜の変拍子 #短歌
冬の日に幼き胸をくるむケープ甘さは遠くニオイだけ残る #短歌
みずをまく届かぬままの午後の音 こぼれた粒がかたちをもたぬ #短歌
令和って言えばなんでも輝いてついていけない風邪のはしっこ #短歌
だれなのか知らないままのうたを聴く 夜のはしっこ少しやさしい #短歌
うしろから手だけが浮いて撮っている バスのしずかな息がゆれてる #短歌
うしろからしがみつく手のあたたかさすこしずれては戻る呼吸よ #短歌
魂の抜けたきみへの言葉では見ないと決めた画面が光る #短歌
乗ってこそなんて強気に言うきみを追いかけながら曇るヘルメット #短歌
砂いろのクッキー砕けひかりへとまだ生きている気配だけ置く #短歌
渾身の話もきみに届かなくカップの底に月が沈んだ #短歌
ふたつある基地を良いことみたいにし暮らしてきたよ駅前の風 #短歌
そのうちどっかに行ける気がしてた バスの揺れだけやさしくてまだ #短歌
前線はどこでもきっと前線で銃声だけが花びらみたい #短歌
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