冷たさをわけてほしくて霜焼けの指でさがしているバニラ色 #短歌
わずかなる気体の影を踏みながら見なかったことにする練習 #短歌
凍えてるからだよなかに火をともすきみの声だけ春を呼んでた #短歌
理屈より先に香りが満ちてきて鉄鍋の底から世界が変わる #短歌
再生と停止のあいだ曖昧に触覚だけが過剰になってく #短歌
更新の止まるアカウントの光速で飽きる才能だけが残って #短歌
既読までの時間に揺れる星占い 今日は信じておくことにした #短歌
足跡のかたちを持たぬものたちがぬくもりのそば眠りはじめる #短歌
ため息の角度を決めてから窓を開ける有休という名の朝 #短歌
拍手より静かな空気を着こなして誰かの影のやさしさになる #短歌
まぶしくて袋のパンが笑ってる正しさよりも整列が好き 短歌
ぬくもりを記憶で補う指先にあなたの影を結びなおして 短歌
マフラーの中で去年が息をしてうすい白さの朝をくぐった #短歌
シワに沿って切った夜にはしずかなるはさみの音が胸をよぎって #短歌
二人掛けベンチが池にとてもある民意みたいに少しずれてる #短歌
なんでだろう知らないふりをしたことが今日の天気に似ていて困る #短歌
しゃがみこむおれに「はっけよい」言うなよと肩の辺りで冬が笑った #短歌
素直には喜んどけばよかったね ぬるい紅茶にうつる午後とか #短歌
最後尾のボード揺れて会釈され私もなにか終わりの途中 #短歌
人が降る 音のないまま傘をたたむ 終わりの形をまだ知らなくて #短歌
夢中とはこういうことか スクラッチの削りかすにもまだ秋がある #短歌
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