チェーン外れ気づかぬままの午後すぎて風が押してく影ばかり行く #短歌
逃げるほど嫌ではない日がつづくなり 誰にも似てる僕の呼吸よ #短歌
月明かり助六の名のすきまにも生きると言えばそれも生きるか #短歌
給食を食べては明日を思い出す 正解なんて誰も知らない #短歌
休みでも街がうごいてうるさくて仕事ない人の話されても #短歌
気づかれぬように笑ってすれ違う ひとの重さを抱かぬふりして #短歌
たましいの形ちがうとわかっても箸のさきまで君を食べきる #短歌
愛車への話題ひとつで夜が持つ自慢という名の寂しさの灯 #短歌
最後までちゃんと飲むから寂しくて飲み干す前に月を見ている #短歌
耳ふさいで眠る世界の終わりまでラジオのノイズやさしく光る #短歌
掃除機の音にまぎれて深呼吸 いい人でいる練習をする #短歌
消えていく名前の群れにやさしくて命日だけが増えていく午後 #短歌
ユニクロの袋かかえて街に出る すべてが正しい気もしてしまう #短歌
ためらいを包むインクのにじみまで未来が少し溶けてゆく音 #短歌
呼ばれた名の濃度にくらみ息をする 空気がひとり分足りなくて #短歌
いま何をしてると問えば風が鳴る 私は不思議を抱いて歩く #短歌
祭あと風鈴ひとつ鳴りつづく冷めてく時間の透明な膜 #短歌
外れたるレンズのなかで見てしまう夢と現の境目の街 #短歌
湖は夜をうすく支えつつ県道の青 コンビニを映す #短歌
カリカリと音して誰もいない部屋 怒る理由がまだあたたかい #短歌
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