だいたいの指のサイズを知らぬままリングのガチャで当たりを狙う #短歌
狂犬病注射の前に歯を見せる 柴と獣医師 曇天の午後 #短歌
ひらがなの禁止事項を並べては無人の夜道に置いて帰った #短歌
人間が咲いたあとには値札あり半額シールで光を隠す #短歌
優しさは破れやすいと知りながら巻いてしまうよ具材のように #短歌
みかん浮く時間さえなお閉じこめてゼラチン光る夢のかけらに #短歌
ひとりきり夜を切り裂き飛ぶカラス 街に孤独の影を重ねて #短歌
干乾びて床に落ちたるわが身にも熱き湯あれば魂戻るか #短歌
何度でも聞き直すたび声の色 変わらぬままに夜はふくらむ #短歌
スコーンよりドカーンでもいい夜だからくだける音に頬が熱いよ #短歌
指先を濡らして消える記憶たち 飛ばされるほど柔らかいもの #短歌
テニスコートつなげる先にあるものは恋かそれとも猫の小さき痕 #短歌
雨雲の境目に置くチョーク粉 未来はいつも流れで消える #短歌
プール際 蛇口に唇触れぬまま笑いをこらえ君と夏飲む #短歌
元気かな声に出せずに呼ぶだけで過去は背中に風をまとって #短歌
ぺらぺらとめくって君は風ですか追いつけぬほど遅いわたしは #短歌
マイナーなゾンビ映画をすすめられつまらぬけれど君が笑えば #短歌
滴れるみかんゼリーは進化史の海を思わずわたしの口に #短歌
漕ぎ出して夜の水面に影ひとつ背中を追えば月が崩れる #短歌
脂なく塩だけ残るブリを食う ひと冬すぎた俺も似ていた #短歌
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