お祭りの太鼓ひびいた通りには閉じたままなる扉がならぶ #短歌
眠たげにひかりはのぼる昼まえのあくびの奥で鳥がうごいた #短歌
はちという名まえの影を抱きながら眠りの底でやさしき毛並み #短歌
それは罪 お好み焼きをのせるご飯 雲と雲との重なりみたい #短歌
生きのびるために必要な隔たりはほの白き
貝の片耳の声 #短歌
握れずにほどけてしまう白い粒 まだ夢みたいな昼のひかりに #短歌
ずらした手 あふれてしまう声の粒 ひかりのようにほほをすべりぬ #短歌
2人して歩いた道を夜が呼ぶ名前のないまま光瞬く #短歌
やわらかに香りの渦を閉じ込めて私は少し透明になる #短歌
知らんぷり猫の尻尾に風が鳴り 世間のことは雲にまかせる #短歌
呼びかけにふり向く人のいないまま名前は宙に花びらとなる #短歌
氷より脆い仕組みを抱きしめて力学だけが知っていること #短歌
風のなか黄色の旗を落とした日 ぼくの小道に金魚が眠る #短歌
カーテンにつまずくぼくは宙に浮きほんの一瞬空を味わう #短歌
電気ケトルの湯気の速さでひらかれる わたしの胸の知らない扉 #短歌
ためらえば甘さと熱さひそみいる指先だけが知る境界線 #短歌
あつすぎて飲めないままにくもる窓 わたしの影はゆげでまざりぬ #短歌
手をあててゆらぐ灯影に息をする なくしたものを数えないまま #短歌
すくえないボールとわたし似ていると誰にも言えず流れる時間 #短歌
冷めぬまま熱さを抱いて時がいる 話し足りない夜のテーブル #短歌
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