終わらないお留守番だよ お茶を飲む冷蔵庫の光 僕を閉じ込め #短歌
シャッターの錆びた並びを見つめてる だらけの街は僕を映すね #短歌
カチカチと時計が鳴るよ 家の中 年寄り子供 孤独漂う #短歌
一口だけ残したそれがテーブルに 君の気配が漂うそっと #短歌
子どもたち黙って見つめるその歩み 歌のおねいさんの象の時間 #短歌
防風林あの夕映えに目を細め 泣くほどでないやさしいくに光 #短歌
何も言わずただ立っていたあの場所につまらなささえもう届かない #短歌
ポケットで溶けてしまった甘いものだれにも言わず無理と言い切る #短歌
見たこともない生きものを描きながら灰色の檻そっと塗り込める #短歌
たぶん今日もわからぬままに呼び続けマーラーカオだけそっとふくらんで #短歌
薄くなるあたたかさだけ残しつつ「帰らないで」の声がほどける #短歌
思い出すことだけ残る夜のなか それを生きると誰にも言わず #短歌
夜になるたび骨のかたちをたしかめる 話せないことばかりあたたかい #短歌
埃立つ本の背ひとつなでながらわたしの記憶静かにひらく #短歌
泣きながら息をととのえ立ち上がるラベンダーだけまだ正直で #短歌
重くなる本と身体が響き合い静かな部屋で知が息をする #短歌
夕立に名前奪われないように雨って何度もくりかえし呼ぶ #短歌
ふとすれ違う柔軟剤だけ懐かしく胸のどこかが少し重くなる #短歌
落ちる水 ひそかに揺れる父の影 言わなかったことそのまま残る #短歌
悪趣味な下着の色が滲む夜 泣き野原にはまだ風がある #短歌
★
ログインしてコメントを確認・投稿する