寂しさが溶けてしまったその場所に遅れず着いたわたしだけ立つ #短歌
言い訳はいつでもどこか呪文めき口の裏だけひそかに乾く #短歌
回転する水の音だけ聞きながら二層の時代をひとつたたんだ #短歌
声だけで決めつけられた花の名にあの亡霊またまぶたでゆれる#短歌
言わぬまま飲み込んだ言葉あたためてじっと指先ひらく夕暮れ #短歌
花のことずっと思って過ごす日を誰にも言わず夕陽に包む #短歌
薄荷の風 少し肌へと触れてきて待つということやさしく言いなおす #短歌
たくさんの言い訳たちがこぼれ落ち最後に残るあなたの名前 #短歌
その笑顔 餅巾着より愛おしく免じて許す些細な日常 #短歌
そっと読む 餅巾着より愛おしく免じて許す些細な日常 #短歌
そっと読む少女漫画の結婚が魔法の言葉 胸に残る日 #短歌
まぼろしの灯りひとつに背を向けて道を辿るよ夜の案内人 #短歌
どちらでもない距離のまま手をつなぐ言葉よりも柔らかな光 #短歌
実家と同じ郵便受けの鍵 手に残る小さな秘密たちの結晶 #短歌
ひとりひとり異なる夢を抱きしめて長椅子の上 流れる時間 #短歌
すり減った靴のかかと越し思い出す知らぬ誰かと重なる日々 #短歌
ひとつだけ置いてみた花 部屋のなか 影と影の間 風が揺れてる #短歌
ふくらはぎに淡く残ったたたみ跡 理由ないまま少しやさしくなる #短歌
彼女だけ先に動いて起こる風 舞台装置が静かにまわる #短歌
この写真こんな若いと気づいたら少しだけ今日が近く見えるね #短歌
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