ココアだったものにさわれなくなって想いだけが熱を残している #短歌
ハッピー商店街の看板を吹いていた この世の声は水に濡れていた #短歌
価値の話をしていたこの口が今日も歯の裏に砂糖をのこしている #短歌
ひかえめな雨音をたしかめながらいつもの坂が1人を押してくる #短歌
レジ袋が静かに揺れていた なみだについてだれもなにも言わなかった #短歌
ネット中継の燕尾服にクリックする この国にも生まれた意味はさておき #短歌
はじめて来た道のはずだった けものの名前が懐かしくなる前に #短歌
きょうの会話がひと段落してからハーゲンダッツという音に間をあげた #短歌
風ではない方法で遠ざかっていくわたしの軽さを背負ったひと #短歌
よい人をしていた午後のかたちが崩れずに流されていく音がした #短歌
まくらに手を入れていたことだけを夢だったかどうかたしかめていた #短歌
人のいた席に湯気だけのこり そのとなりで冷めたものを飲んでる #短歌
出発のベルが鳴り終えたあと少しだけオレンジが風に残った #短歌
水圧の話をするとき急にくる たとえば夢を覚えてるとか #短歌
百円の冷たさだけが本当で ほかはだいたい夏の気のせい #短歌
ここじゃない気がして歩くコンビニの跡地にまたもコンビニが咲く #短歌
ファミレスに入るくらいのきもちだとたぶんおたがい思ってはいる #短歌
湯気のなか歌が生まれる レース越しおひるねまえのまどろみのなか #短歌
この店のココアが好きときみが言い それかすこしの未来に思え #短歌
追悼の言葉が行き先なくしても私は今日もポストをのぼく #短歌
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