夢のなか おまえに殴られた胸だけがあたたかくてこわくてさすった #短歌
メニュー札うらがえしならず十年目 やさしい嘘も並んで光る #短歌
進水式の空を少しだけ見て洗濯機がやさしくまわる #短歌
わたしには開けられないとひりながら鍵を受け取る夢をみていた #短歌
噛んでいたゴムにわたしの癖がある 誰の話もちがう声した #短歌
電車の路面図みたいな友情をそれでもわりと信じていたよ #短歌
押しても押しても戻ってくるな このひねくれ自我withもふもふ #短歌
ハニトーがこわかったのか君だったのか いやたぶん両方こわかった #短歌
うまく吸えない空気ばかりが残っててごめんが言えずに朝が来ていた #短歌
しあわせはこのくらいって言いながらもっと大きいの待ってた舌先 #短歌
「死ななかった言い訳です」と風に言う浮間舟渡の風は聞き上手 #短歌
完全に夏だった人のLINEだけいまだに通知オフにできない #短歌
雨音がはっきり聞こえる駅にいてやさしく遅れる時計の呼吸 #短歌
役立たずって言われたときの言い返し トマソンだって光あびてる #短歌
「豊かな水」ってたぶんクーポンです あたらしい日々へ踏み出すための #短歌
猫と目が合う マナー講座で見た角度のまま会釈してみる #短歌
ふたりの流儀はまだ見つからぬけど君がフォークで食べる白米 #短歌
ルール無視してもはじまるものとして「✤ねえねえ」と書く会社のメモに #短歌
会わなくなった友のLINEは開かずに海の底にも似た既読無視 #短歌
ここにドアあれと叫んでまたLINE 返信ないのは時空のせいだ #短歌
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