好きとかもう言いたくない朝にだけ鳥の声ちゃんと届いて #短歌
遠くから届く竹刀のたたく音 わたしの机には音がない #短歌
指先でさわる不信のかたちにもすこしのひかり すこしの温度 #短歌
「おかえり」と言われただけで立ち止まる どこにも帰る予定のない日 #短歌
ひとりでも湯気は立つこと思いだす カップのふちで揺れているもの #短歌
まぶしさに目を伏せながらとなりには正しい筆順で今日が続いて #短歌
言葉にはされてしまえば言葉だが声の奥には音がなかった #短歌
冷蔵庫ひらくたび思いだすつぶしてしまったやわらかいこと #短歌
ふれたのにもうどこにもない気がしてただ見あげてる水色の午後 #短歌
こわれた家の間取りを描けずに空ばかりある午後を歩いた #短歌
あなたから見たわたしは武器でしょう それでも話せる声を選んだ #短歌
お噂はかねがねなんて言われても口元のカーブが決まってこわい #短歌
ねむるたびちがう朝に着いていて同じ声だけいつもそばにいた #短歌
キャンバスの端に眠気がたゆたって夢の輪郭 ひと筆で消す #短歌
殻ごとでないと立てない朝がある それでも窓をあける わたしは #短歌
たぶんもう触れられないとわかってたあんなふうにはねるおでこに #短歌
「正しさ」が削る音だけしていた日 やさしくなれば傷は見えない #短歌
わたしまだ夜の余白にいます どうか透けてしまうまえに呼んで #短歌
つめあとをたどってゆけばここが口 わたしは檸檬 かじられてきた #短歌
ページからすべてが零れそうになる わるいのは忘れることじゃなくて #短歌
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