あけっぱなしのく瞳の奥にも誰にも届かぬ鐘が鳴ってる #短歌
かけるよと訊かれてからが長くなる すだちの香りひらく宵ごはん #短歌
ふれられず終わった舞台 光だけ割れもののうえをとおりすぎてく #短歌
去年のままのまばたきのよう流れてく音のかたちのない速報が 短歌
好き と 好かれる が両手にのる どっちが本体?ときくと海が静か #短歌
この重さが夢じゃないってことできれいな形に縛られていた #短歌
この道がどこかにつづくかどうかより知らない花が咲いていたから #短歌
くちびるの片隅ってうそが住んでてでもたまにまことが出る #短歌
瓦礫ってなにかの正解みたい うまく壊れる才能を持たなかった #短歌
うまく泣けない日がつづいてひゃっくりだけがわたしを出る音 #短歌
この海にわたしの声があったとしてそれでも波はまた光ってた #短歌
なにひとつ訊かず黙っているだけの冷蔵庫の中にも母がいた #短歌
思い出せるのは乗らなかった方の席 きみの声は栞の奥でまだ熱い #短歌
たたまれたママの薬の復路からまだ話しかけてくるような午後 #短歌
水やりの音がひかりをまきながらきみの肩にも来世が咲いて #短歌
どうしても語らないかたちを撫でながらわたしの感情は床にゆずってみた #短歌
記録にはのこらぬ斜陽を踏んでいただれかが笑いだれかがきえて #短歌
あれって声に出したとたんに火の鳥がいた場所だけがあたたかい #短歌
だれかの靴のあとをみつけてきみの呼吸が少しととのう夏 #短歌
毛布からこぼれてしまう孤独にも名前をつける夜行のゆびが #短歌
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