やめどきを決められなくてまた今日も風のない日にバットをふって #短歌
ほどく手を持たないままで見てしまう 骨までしずかに折れてゆく傘 #短歌
立ちっぱなしの空がひらいてゆく朝 ゆるいおにぎり 落ちそうな飴 #短歌
占いの欄をなぞってやめておく 占い師にも休みはあるらしい #短歌
がんばってるねと誰かに言われた日 ほどける靴を直すふりして #短歌
朝になりそうな観覧車のすきまから現実だけが流れていった #短歌
落としたのがボールでよかったら君ならばもっと重たい音がするかも #短歌
「温めますか?」って聞くその声がラムネの瓶の音をふくんで #短歌
ノートには線だけが増え そのたびに擦りむく膝が他人のようで #短歌
冷めきったスープをすくう手のかすかさ わたしをこぼす音がしている #短歌
うまく笑えた自動ドアの外側にぬるいジュースの味がのこった #短歌
観測はできても干渉はできぬ距離 バグって墜ちてゆく探査機と僕 #短歌
「処分品」そのラベル越しに見えてくる まだ温かい過去みたいなもの #短歌
会えないと知ってしまった壁ばかり並んで光る観測の夜 #短歌
うまく言えない好きだったこと全部 完熟梅の季語にしてみる #短歌
ログインの履歴でわかるあなたから触れられなかった夜がいくつも #短歌
白き手を服のトンネル抜けてきた 言葉より先に知ってる憂い #短歌
水面から少しあふれたまま置かれこぼれぬように息をしている #短歌
「このひと誰だっけ」で終わらせたくなくて拡大するけどピントが合わない #短歌
この胸にひと息ずつの空の味 測り間違えた人がいるらしい #短歌
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