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2024年08月24日20:55

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だらだらと2日間の出来事

 8月24日土曜日。
 今週は夜に計3度、ミニ・ドライブを愉しんだ。それぞれ小一時間程度、ガソリンの無駄遣いと環境への負荷。
 たとえばYouTubeでヘンデルの「パッサカリア」という小曲があなたへのオススメに上がっていて(https://www.youtube.com/watch?v=-9mOnFFaRwQ&list=LL&index=8)、SDカードにMP3ファイルで保存したのだが、慣れた道を運転しながら気に入った曲を聞き入っていると、精神的な疲労が少し解消していくようだった。
 昨日はNHKニュースで2度に亘って米民主党大会のカマラ・ハリス氏の指名受諾演説が紹介されたので、深夜、端折りながらノーカット動画を20分ほど聞いてみた。自身の生い立ちから演繹して「個々人の尊厳の尊重」を観衆に訴える高らかな声と仕種を見ていると、我が国の自民、立憲の代表候補はあまりにみすぼらしく、器の卑小さが浮き彫りになる。太平洋戦争開戦時の国力差と同じで、月とすっぽん。ハリス氏の演説を原文と日本語訳で出せば、5万部は行くだろう。
 その後、iMacをオフにする寸前、Yahoo!ニュースをざっと読んでいたら、夏の甲子園決勝で勝った京都国際という高校がトラブルに巻き込まれた記事があって、この高校をディするコメントが大量に付いていた。初めて知ったのだが、韓国・朝鮮系らしい。
「特定の国家に対してヘイトスピーチまがいの感情的な讒言を書く者よ、在日韓国人のみならず世界の韓国人を傷つけるのはやめろ。片っ端からYahoo!に名誉毀損にあたることを通告する」と発言しておいた。このあと在日朝鮮人作家・深沢潮の『李の花は散っても』を読むことにしているので。
 さて、今日も全集の再校。旧字旧かな遣いの間違いを探しつつ、わずか1文字2文字の”虫食い”(解読不能箇所)を少しでも埋めなければいけない。詩人の字はあまりに汚い、というか崩し字がことごとく我流で、しかも漢字の間違いが多い。精神が昂揚してくると神が乗り移っているような文体となり、人間と自然の摂理が詩的な言葉で紡がれるのだが、私のような世俗にまみれた凡人は想定外の比喩について行けず、何を書いているのかわからなくなってしまう。
 それでも既に再校だ。そろそろ決着をつけなければいけない。
 校正者も詩人の手書き原稿を比較対照しながら赤と鉛筆出しを入れてくれてはいる。が、わからないものはわからない。もう私が一つひとつ解決していくより他にない。
 <急く目下の湖には強い光りがおちて、キラキラする波もんは私の午後の十分記(ルビかく)に價する薇物だ。>
 こんな文章がある。
 せくめっかの湖には……、ってなんだ?
 いそぐもっかの湖……。
 意味は通じない。通じなくても詩人を尊重してイキママで載せている。が、出来れば読者を煙に巻くようなことをしたくはないのだ。これには2つの理由があって、詩人の良さを最大限高めたいことと、編集者としては編集者自身がさっぱりわからないような文章を極力なくしたいという職業意識がどうしても付いて回る。
 30分近く費やしたところでようやくわかった。
 す(直)ぐ目下(めした)の湖には、と詩人は書きたかったのだ。
 最後にある”薇物”、(=ぜんまい)は、翻刻間違いで、薇ではなく歡だった。が、詩人の字はどう見ても薇で、校正者も素通りしていたのだった。
 これで意味が通じる。
 高校の2年3年と、数学の問題集『オリジナル』で各単元最後にある難問を解く学習習慣を続けていた。これは本気の”二乗”の集中力と応用力を要求される。吐きそうなほどにしんどかったのだが、その後出版の仕事に就いても、全力投球をしても有り余る難易度を要求される作業がときどきあった。そのたびに「しんどい」「いやだ」と精神的に駄々をこね、しかし編集者は一応最終走者なのでやらざるを得なかった。頭脳の明晰さや決断力が欠けているにもかかわらず、だ。
 中学高校時代、もう少し勉強を真面目にしとくんだった、という後悔。頭の持久力はこの時期、もっとも養われる。
 今になって、毎日毎日、難問集を解かされるとはなぁ。
 漢和辞典で過去55年の間に、漢字を調べた回数は千回だとしたら、その数の倍くらいをこの詩人全集で調べている。草冠(正確には艸部)で、画数が10以上、なんて漢字を詩人のノートと照らし合わせながら一漢字ずつ意味合わせして、漢字の特定をするというような作業を面白いととるか、しち面倒くさいととるか。これはひとえに精神的に余裕があるかどうかにかかっている。
 昨日今日は少し余裕があった。
 と言うか、余裕とは関係がなくて、精神的な援助をいただいてしまった。
 今週、校正のかたに「陣中見舞い」と称して5万円を振り込んだ。校正費は刊行月にお支払いすることになっているのだが、長期で難解な仕事であることから気を遣わざるを得ない。
 甲府での打ち合わせがあるため、詩人の後継者からいくばくかの編集費を事前にいただいている。先方が考えているようなホテルに泊まらないし、クルマではないときは高速バスを使ったりして交通費も極力抑えている。四尾連湖行きは自腹だ。なので、お金が余っているので、原資がある。
 自由に使っていいお金だが、一応「校正のかたに残暑見舞いで5万円を振り込みました」と報告をいれた。と、ソッコーで5万円と丁寧な手紙が入った現金書留が送られてきたのだった。
 さし当たっていま、欲しいのは時間と健康だ。
 一日の中でも凸凹がある。
 今日の午後2時半、ちょっと散歩に出ると、2年ぶりくらいに謎のボロアパート住人と出くわした。私より確30歳年下。読書家。
 数分立ち話をしたら元気になった。旧内藤醫院のそばで別れた。
 内藤洋子の実家跡はいまマンションになっている。妹の圭子さんから100円で鎌倉彫りの銘々皿を譲ってもらい、リビングの化粧棚に飾って、時々眺めている。懐かしの一品。
 帰宅したら個展案内のメールが届いていた。
 明るい油絵だ、見たいな。ということで、忘れないよう、手帳に書き入れた。
 
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