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2020年10月23日17:58

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雨に濡れて思うことなど

 本日10月23日、午後2時半過ぎだったと思う。雨はやんでいた。昨夕、図書館から予約本が入ったというメールが届いていたので、自転車で図書館に行くことにした。万の悪いことに先週始めから予約本が続々と入荷し、2日置きに図書館へ行かざるを得なかった。1冊を除いて、半年以上前に申し込んだ本だったので、メール通知が来たとき、そう言えば予約していたんだ、という意外性があった。
 図書館まであと200メートルほどの時点で雨がふたたび降り出した。すぐに止むといいな、と手前勝手な想いを抱きながら入館。そのまま真っ直ぐカウンターへ行って、予約本を借り受けた。で、帰ろうとしたら、小雨は勢いを増していて、豪雨に近い状態だった。
 やむなく雨宿り代わりに館内へと引き返し、2階の社会系自然系など専門書がある部屋で、時間つぶし代わりに読む本を探していたら、『戦場の宮古島と「慰安婦」』( 日韓共同「日本郡慰安所」宮古島調査報告編著)という本が目に付いた。
 昨日、「戦争加害展」の定例会合が横浜であって、来年5月開催の展示内容について議論がなされた。その際に、あるメンバーから「内容がごちゃごちゃで、しかもパネルが定例化している。2021年は満州侵略90周年、マレー侵攻から80年という節目の年なので、思い切って展示内容を変える必要があるのではないか」という意見が出された、その際、私も同様な考えがあったものだから賛意を示す発言をした。
 具体的には「慰安婦」「沖縄戦」など、「侵略」で括れないテーマについては、展示から省く方向になりそうなのだが(11月12月の会合に持ち越し)、近くにいたメンバーが「逆に、宮古島の慰安婦問題を入れたいくらいなんだけど」と小声でぼやき、私はちょっと心が痛かった。
 そんな会合の翌日、まさに私は宮古島の慰安婦に於ける実態調査と証言を集めた本に出会ったのである。
 ぴったり1時間、(飛ばし読みながら)読んでみた。
 従軍慰安婦問題の本を読むと毎回、感じることなのだが、日本軍兵士総体の無恥と無教養というのは「病い」の閾を超えて犯罪的ですらある。そこに住む民間人が普通に暮らし、普通に歩いているなかで、ふんどし一丁で慰安所前に並ぶことに抵抗があるどころか歓びであるような人間というのは到底、私には理解できない。これが明日死ぬかもしれない戦場の最前線ならいざ知らず、宮古島に集められた兵士は基本的に飛行場建設に携わる任務だ。
 日本軍は慰安所に関係していないだって? 兵舍の門前にあるにもかかわらず、関与はないって? どの口でそんなことを言えるのだろう。
 先週末、戦犯中曽根の「国葬」があったが、彼自身、マレーやシンガポールに慰安所を作ってやったのは私のおかげだ、などと複数回、述べている。
 ちなみに、文科省が国立大に弔旗を掲げるよう要請したというニュースを見た翌々日、自分が出た大学がどう対応するか、調べてみたら、「大学の休業日なので掲げない」と反旗を翻していて、助かった。もし弔旗掲揚なら私は大学に抗議文を書くつもりだった。
 宮古島に渡った慰安婦たちの証言を読んでいると、全員が騙されていた。仕事内容が売春であるとは知らされていなかったのである。
「接待業です。時給1万円でお好きな勤務時間を選べます」という募集なら疑ってかかるのが当然だが、昔はそんな高給条件など提示されていないし、賄い婦や酌婦という労働実態などほとんどの(朝鮮人)女性は知らない。そもそも現代に生きる私だってよく知らない(笑)。
 宮古島だけで30箇所くらいの慰安所があったということだから、日本人男性は集団買春が好きな性質だとしか思えない。
 4時になった、図書館の窓から外を見る。アスファルトの水たまりには、落ちた雨粒で輪が広がっていた。
 仕方ない、濡れても帰ろう。
 みるみるうちにジャケットと黒ジーンズが濡れた。
 いやな言葉が頭に浮かぶ、「こんな雨の下で自転車を漕ぐ俺は下級国民か」。
 20世紀末、勝ち組負け組という二分法が流行り出した。この概念も言葉自体も、資本主義の非人間的な側面を表すイヤな感じ、と思っていた。
 が、「上級国民」という言葉よりは、まだましだ。上級国民は第二次アベ政権以降の造語で、つまりは国民の過半が憲法をないがしろにするか、もしくは諦観するかといった負の意識を象徴しているような語感がある。
 私は物心がついて以降、ずっと自分の理想から大きく負け続けて今に至っているのだが、それはさておき、人間の尊厳だけは守りたいと強く思う。
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