mixiユーザー(id:6486105)

2020年07月13日14:37

94 view

甲府の朝と「夜の街」日録。

 甲府滞在中、4泊目からホテルを替えた。全国チェーンのホテルではなく、山梨県の地元企業が経営する「地場ホテル」だ。
 7月11日土曜日の朝こと。
 ホテルの一階にある居酒屋が朝食会場を兼ねていて、8時に行ってみたら、客は一人もいなかった。よく調べることもなく予約したホテルなので、バイキングだったらいいなぁくらいの期待があったのだが、ごくごく一般的な和定食だった。鮭、納豆、海苔、野菜サラダ、小梅干し・大根の漬物、お味噌汁。これに加えて、カレー食べ放題(とコーヒー飲み放題)のサービスがあった。
 体力がすり減っているので朝からカレーなんて食べられなさそう……。が、名残惜しい気分が募り、とっとと納豆と鮭でお茶碗半分のごはんを食べ、残り半膳のごはんにカレールーだけ掛けて食べた。
 給仕のおばさんは私が食べ終わるのを待っている様子。聞くと、私が最後の朝食客で、今朝は私を含めて7食だったという。
 コロナ感染の影響は地方に大きな被害を与えている。通常この時期は桃狩り目当ての観光客や、大学のゼミ合宿客も多くいて、ビジネスマンも加えるとだいたい100食、金曜土曜は120食くらい出ることもある、とおばさんは言う。「なんだか給料もらってて会社に申し訳ない」とも。
 午後6時前、文学館から山梨交通の乗合バスに乗ってホテルに着く。ロビーに設置された無料サービスのコーヒーと入浴剤、そして鍵を受け取ったときにくれたスマホ用消毒アルコールシートを持って、部屋に入る。すぐにシャワーを浴びて、コーヒーもいただく。
 ホテルは甲府の繁華街から2ブロックのほぼ中心街に位置していて、3分か4分ほど歩くと、居酒屋、ラーメン屋、焼き鳥屋といった店と、やや系統が違うがソープランドにフィリピンパブに……などのピンク系、さらに「スナック愛」「スナック智恵子」といった古いネーミングのスナックバー街が幾重にもあって、地方にしては結構大規模な「夜の街」だった。歩道部は屋根に覆われ、雨が降っても濡れないようになっている。かつては大勢の客が行き交っていたのであろう。
 土曜日だというのに店の2軒に1軒はシャッターが閉じられ、どこからか有線放送だと思われる演歌が街全体に流れ出していて、通行人はまばら。物寂しい。
 コロナ騒動以前から、地方の店のさびれ具合が如実に重ねられてきた歴史が、なんとなく見て取れる。ソープランドとスナック雑居ビルの間に公共灰皿が設置されていたので、そこで一服したのだが、ビルに出入りする酔客は一人もいなかったし、ソープでも入店者はいなかった。
 5分の間に私のそばを通ったのは中国人のグループとおぼしき男性組5人と、下着が見えそうなほどのミニスカート姿の若い女性1人だけ。
 昨日の晩はカレー、今朝も少しだけカレーを食べたので、今日は回転寿司にでも行きたい気分だが、iPhoneでネット検索しても、ないものはない。東京並みのメニュー表を掲げている蕎麦屋とかイタリアンのこじゃれたレストランなどに目を惹かれたのだが、ドアを開けっぱなしにしているので店内が見える。客は一人もいない。これはこれで一人で食べる店にしては淋しすぎる。
 繁華街の中心に地場のデパート「岡島」がある。試しに、一階フロアを南から北まで横断してみた。が、客より店員のほうが倍くらい多い。21世紀に入って以来、地方の老舗百貨店が一つ、また一つと消えている。「岡島」もそのうち、「伝説の百貨店」になるのだろうか?
 お金が潤沢にないものだから、結局は昨日と同じカレー屋に行った。
 中国人のおばちゃんが笑顔になって迎えてくれる。
 サイドメニューにある鶏唐揚げ2皿、やみつきナムル、やみつきキュウリをまず注文した。で、白いごはんをお願いしようとしたのだが、中国人のおばちゃんは白ごはんをいくらにしたらいいのか分からないなどと言うので、ミニミニカレー丼200円を注文した。俺、またカレーかよ。
 どうやら私が客を呼び込んだようで、唐揚げを食べていると、2組の客があいついで入店してきた。私が座ったところは店の外から真正面にあるため、客がいることがわかって安心できるという「宣伝マン」になってしまった。
 と、いきなりへんなオッサンが店内に乱入してきて、中国人のおばちゃんを「リーサ!」と呼びつけ、足りないものはないか? などと訊いている。
 ああ、このオッサンが「リーサ」おばちゃんのご主人さんか、と納得した。
 リーサは鶏の胸肉を買ってきて、とおっさんに頼んでいた。おっさんはなぜか私のそばに寄って来て、「これ、無料だから飲んでよ、ノンアルビールなんだ! お金は要らない、ホントに」と言って店の外に出て行った。
 あっという間に(不味い)ミニカレー丼と(不味い)唐揚げと(不味い)ナムルと(不味い)キュウリを食べた私は、帰りまーすとおばちゃんに告げて、お会計を頼んだ。キリンのノンアルビール缶は開けず、カウンターに置いていった。支払いは600円、消費税はなかった。
 千円札を渡しながら「リーサって綺麗なお名前ですね?」とおばちゃんに言うと、彼女はしばし考えた末、紙に「李」と書いて私に渡し、「李さん、ってシャチョーは私を呼ぶ。今の人、ここのシャチョーさんね」と告げた。なんだ、李ってよくある名字だよね。
 ホテルの斜向かいにあるコンビニで200円超の高級プリンを1個買った。これで口直しをしよう(笑)。
 横断歩道を通らず広い道路を走って渡る。ホテルの1階居酒屋は暗いながらも灯りがついている様子。
 えっ、居酒屋の入口脇に「生はげ」と書いてる!?
 私は視力が悪くて、しかも「生」の字が馬鹿でかくて目立ったために誤読した。近づいてあらためて見たら、「生ビール」と書いていたのだが、道路を走って渡り切ったときには、秋田で小さな子どもの家を訪ねて「悪いゴはいねぇがー!」という鬼を思い浮かべていて、「甲府の居酒屋で生はげがみられるのかぁ」と不可思議な気分に陥っていたのであった。
 呑兵衛は生ビールを欲するが、下戸には生はげのような余興も案外面白いかも。
 ホテルに戻ってしっかり入浴した。しかし、神経が高ぶっていて、身体は疲労の極致にあった。
 一枚、はがきを書いた。珍しく丁寧な字を書いた。
 今日もいろんなかたの支えがあって、なんとか頑張ることが出来た。
 早く寝なきゃと思うものの、睡眠薬の効果は薄かった。
6 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2020年07月>
日 月 火 水 木 金 土
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031