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2020年05月27日14:10

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言葉にならないアクシデント

 25日月曜日。午前中、隣町の大きな魚屋へ鰻を買いに行った。ついでに、というかブックオフへ寄って、予算はワンコインと決めて文庫本を買う心づもり。図書館本で読んだ乙川優三郎さんのハードカバーが文庫化されている!? これを買うと残り100円となり、読んでいる間は決まって面白い小泉武夫さんの『不味い!』をチョイスし、500円+税で収まった。
 うちに帰って軽いランチのあと、原稿整理をし始めたところで、家電がかかってきた。
 私にとって恩人であり、いわば優しい父のような存在のかたが大怪我を負った……。ご本人は集中治療室にいるくらいだから、当然奥様からお電話をいただいたのだった。
 世界が暗転した。
 あまりのショックで1時間近くなにもできず、床にへたり込んでいた。
 が、落ち込んでいる場合ではない。それからすぐに、そのかたとの約束を果たすべく、書斎にあるiMacを起ち上げ、資料づくりを始めた。
 本来なら連休前、遠く離れた「文学館」の別室に4日間ほど閉じ籠もって、詩人の遺した文章すべてを書き写したり写真に収めることになっていた。そのためには閲覧希望資料を事前に申請しなければいけない。趣意書も書かなければいけない。
 どちらも下書きは3月時点でできていた。が、これはあくまで下書きであって、資料請求については精査をする必要があるし、趣意書は要点をメモ書きしただけの代物だ。
 優しい父というのは詩人のご長男で、最終的に著作権継承者たる彼が私の資料請求に口添えをして文学館に提出する段取りだった。
 奥様は面会謝絶状態の「隙間」で、少し話ができたという。そして、私への伝言をことづかり、「よろしく頼みます」と。
 とにかく膨大な資料の漏れがないかどうかをあらためてチェックし始めた。夕ごはんの30分以外、ずっとデータベースで検索しプリントアウトした一覧表に赤と�悗離沺璽�ーを引き入れ、疑問がある場合は具体的にメモをする。
 これと平行しながら、自分の手持ち資料と比較対照をする必要があったり、プリンタのインク切れでインクを入れ替えたり、自分用と文学館用の2種類のリストを作ることにしたりしていると、あっという間に深夜になった。
 午前1時までやって、YouTubeで小曽根真さんの「自宅のリビングライブ」を少し聴いて、さらにラフマニノフのピアノ協奏曲第2番、中国人ピアニストの演奏で聴く。睡眠薬を服んだのは午前2時半頃。
 26日、午前9時起床。ごはんと散歩以外、終日パソコンに向かった。
 閲覧資料の整理を終え、趣意書もあらためて書き、鰻丼の晩ご飯を食べたあと、「優しい父」に手紙を書いた。便箋に向かうが、書き出しが思い浮かばない。
 10分くらい考えてみたのだが、結局、冒頭は「言葉が出てきません」だった(苦笑)。
 手紙を書き終えたあと、あらためて書類もろもろに間違いがないか、チェックする。
 午前零時ちょっと前、レターパックに書類や手紙を入れて封をし、郵便局前のポストに投函。
 浴槽に浸かりながら夕刊を読む。
「埼玉の中学でアベノマスク義務づけ」という記事を読んで不快になる。アベノマスク着用に対してではない。事前に個別指導のプリントで「アベノマスクを忘れた生徒は少人数教室に残る」と記載されたものを生徒に配布していたのだが、ネットなどで非難が湧いたら、「国支給マスクの有効活用を考え、このような表現になってしまったが、決してこのマスクに限定するものではない」と教育長名でコメントを出した、とあった。
 アベノマスク非着用生徒は別室に隔離、と書いているのに、「このマスクに限定するものではない」だと? 先々週(?)、厚労省大臣が「37.5度の発熱が4日以上続く患者をPCR検査対象者とする」というのは医療機関の誤解であり、私はそんなことを伝えていないと弁解したときと同じ怒りだ。なんか安倍政権以降、こういう後付けの言い訳をしていい、というのが一般化している。安倍の長期政権でもっとも犯罪的なのは、平気でうそをつくことがまかり通る、というソーシャル・キャラクターが醸成し、完成の域に入ったことだ。安倍お得意の台詞をもじると、「美しくない日本」の象徴であろう。
 午前1時、自室のMacbookProで動画を30分ほど見た。オバマ前大統領が高校生に向けた祝辞(?)を、日本語訳を見ながら聞いていると、救われた気分になった。スタンフォード大学の卒業式に於けるスティーブ・ジョブズの演説を唐突に思い出す。最後の呼びかけが「Stay Foolish.」だったんだよな。ステイ・ホームじゃなくて。おとなになっても(青年時代と同様の)バカでいよう、というような訳でいいと思われる。
 一日頭を使っていると、クールダウンしてくれない。ベッドに入って「不味い!」をぱらぱら繰る。中国の奥地で食った蛇料理とか南の国の昆虫料理を食べに行くのは著者の趣味なんじゃね(笑)? しかし、不味い立ち食いうどんやトンカツの例も挙げていて、ついつい読んでしまう。ますます眠気が来ない。
 2時半、クスリを3割増しくらいで服用し、寝たのは3時くらいだったと思う。
 本日27日、午前9時ちょうどにベッドから降りる。虚脱状態。
 が、ルーティンの掃き掃除をしているうちに、気力が少し戻ってくる。
 ここ10日ほど先延ばしにしていたトウガラシ苗を、庭に用意した「バケツ畑」に移植する。ちゃんと育つかな、と毎年、不安になる。が、育つものは育つのである。苗はまだ30本くらいあるので、枯れても補充できる。
 なるたけ前向きでいなきゃ、と思うが、茫洋とした世界が眼前に広がっていて先が見通せない、みたいな状態。やらなきゃいけないことが山積しているのに、凹んでいる。
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