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2018年11月21日21:16

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かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう

 午後1時から高校の恩師に宛てて手紙を書き始めた。
 MacbookProのエディタを起ち上げてから頭の中で書くべき内容のポイントを並べ、次に先生から送られて来た歌誌と今福龍太著『ヘンリー・ソロー 野生の学舎』を広げて、要点を整理する。15分ほど思案してからキーボードを叩き、短歌を臨書したり本の感想を簡潔にまとめたりしながら、手紙を打ち終わった。つっかえつっかえしながら書いたので、約30分を要した。
 和紙の便箋に罫線を印刷する。pages(Macintoshの純正ワープロアプリ)を使う。なるたけ行間を狭くして字を詰め込みたい。レイアウトして印刷するまでに約10分。
 そして、パソコンで下書きした内容を見ながら、水性ボールペンで書き写していく。途中で字を間違えて書き直したこともあって、1時間ほどかかってしまい、壁掛け時計を見ると3時を過ぎていた。セットの和紙封筒に宛名を書いて、切手を貼って、郵便局へ。ポストに投函したら3時半だった。手紙一通を書くのに2時間半を費やしたことになる。
 これは純粋に手紙を書いて投函するまでに要した時間だ。
 その前に『野生の学舎』を5時間近くかかって読んだ。今月号の歌誌を受け取った一昨日に2時間ほど読んでいたように思う。手紙を書くために読むわけではないが、読む必要性はある。丁寧な「礼状」をしたためることを心掛けた結果、10時間が必要だった。
 仕事が早い人、遅い人。これはてきぱきと掛かる仕事を次々に片付ける能力とは別に、丁寧さが関係する。編集者の仕事に、取材や原稿の依頼状書きがあるのだが、ある編集者は資料調べも含めてわずか1時間弱で書き終えるし、10時間をかけて書く編集者もいる。
 240ページの初校をわずか4時間で戻す編集者もいたし、同じレベルの本で初校戻しに30時間を費やす者もいた。私は根がだらしないので、人知れず土曜日曜に休日出勤して30時間を費やす同僚とか先輩編集者を遠目に見ながら、「やっぱ真面目な生き方ってかっこいい」という思いを自分の心の底に根付かせて今に至る。早川義夫のLPタイトルで「かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう」(1969年)という名文句があるけれど、額面通りだと思う。それを逆にして「かっこ悪いことはなんてかっこいいんだろう 」と言うほうがわかりやすいかもしれない。
 今日投函した手紙は午後3時を過ぎてしまったために、明日ではなく、明後日は祭日ゆえに配達もないため、明明後日の土曜日に着くかもしれない。それでもメールより手書きの礼状のほうがかっこ悪くていい。
 郵便の土曜日配達が廃止される方向らしい。表向きは配達員の労働環境問題から発しているが、根本原因はただの採算であろう。そもそも郵政民営化自体が間違っていた。国鉄の民営化(JRへ)についても、もう誰も口を挟まないけれど、人口の少ない地方は廃線につぐ廃線で、過疎化に拍車をかけている。田舎で電車に乗ったらたった10キロの区間でも5百円以上かかり、東京都区部だと200円足らずだから、都市部の住人は国鉄民営化は他人事、郵政民営化も他人事で済む。
 私は全きの左翼なので、鉄道も郵便も、さらには今国会で民営化で決まりそうな水道も、公共財産であって国家や自治体が経営するべきだと考えている。
 が、世の中にこれだけ左翼嫌いな国民が増えてしまった昨今ゆえ、それならいっそう健康保険は最も共産主義的な制度ゆえに廃止し、さらに税金も真の公平さを目指して間接税だけにすればいいとも思う。消費税率は最低でも50パーセントくらいになるだろうが、日本の歴史では五公五民の時代が長らく続いたので、古き良き日本の伝統回帰というだけのことだ。
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