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2017年04月28日20:53

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関根勤さんの笑顔

 全国チェーンのファストフード店で店員に注意が向くことはほぼない。客は本部の方針で画一化されたインテリアと味と接客を頼りに入店し、そそくさと食事を済ませて店を出る。よほど特徴的な店員でもない限り目を向けないし、期待値を大幅に下回る味を除いて店の実態を見つめることもしないはずだ。
 自宅から山中湖に向かうほぼ中間点に、全国展開をしているカツ丼店がある。毎回、このファストフード店に寄って小腹を満たすのが習慣になってしまった。オープンしてから10年を超えた。偶然にも店が出来た直後に通りかかって入り、料理が上手そうなご年輩の女性3人が手際よくトンカツを揚げたり丼にごはんをよそったりしている姿がおよそチェーン店らしからぬ印象だった。別に顔や振る舞いをじっと見ていたわけでもない。が、来店するたび、シフトで顔ぶれは違うものの、誰か1人は見知ったおばさんで、馴染みとまでは言えないものの、わたし的には普通の大衆食堂と同じ「顔」のある食べ物屋さんだ。
 今日も開店当初から立ち働いている1人が調理場にいらっしゃって、安心感を抱いた。見ていると、当たり前のことだが、肉を叩いて柔らかくしてから衣をつけ、さっとたぎった油に流し込んでいる。街の洋食屋と手順は同じだ。
 トンカツ屋の昼メニューで出されるカツ丼とここのカツ丼の味を較べても大差はない。水の代わりにここでは冷たいほうじ茶が出てくるのだが、このお茶も美味しくて、食べる前に一口含み、食べ終わって残りを一気に飲み干す。神奈川県の中途半端に田舎の町の、中途半端な「名店」だと思う。調理のおばさん以外の接客アルバイトがいい意味で田舎臭くて、たとえば今日は私がお茶を飲み干したところを見ていたため、すぐさまお茶をそそいでくれた。田舎臭いは差別的な言い回しだな、すれっからしに見えないと訂正しておこ。
 安いカツ丼なのに、値段以上のサービスを受けた気になって、その先の運転では「人にもバイクにもクルマにも優しいドライバーでいよう」などと思う。関根勤さんのエッセイ集を作ったとき、冒頭のエッセイが「世界に広げよう、幸せの輪」という内容で、これはタモリがMCの「笑っていいとも」の決まり文句「世界に広げよう、友だちの輪」を踏襲した関根流社会幸福論だった。関根さんは「笑顔の連鎖」と「不快の連鎖」を俎上に上げて、自分は常に笑顔でありたい、と書いていたし、ごはんをご一緒させていただいたときもそのことを言っていた。世の中には数多くの幸福論が出ているが、畢竟、社会を良くも悪くもするのは個々人の人との接し方ではないだろうか。ラッセルやヒルティなんて偉い人の幸福論も学生時代には一応目を通したが、いま私に残っている幸福論は関根勤さんだけかもしれない(苦笑)。
 明日から某所で無料ゲリラコーヒーをやります。一応50杯分のコーヒー豆などを用意しました。客が来るんかいな、とも思うけれど、私が動くことで少しでも友人のためになるなら、それでいい。


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