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2019年07月27日09:22

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7/25 没後50年 坂本繁二郎展@練馬区立美術館

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坂本繁二郎といえば馬。はっきりした輪郭線はなく、水色、薄緑色、黄色、黄土色などの淡い絵の具をボテボテとおいていく独特の描き方が思い浮かぶ。影に黒色は使わない。優しい色合いがいい。
しかし、本展で初期作から晩年までを通して観て、馬のモチーフはほんの一部だったと知った。
最初は身近な日常風景、牛で夏目漱石に絶賛され、牛は自画像と言われる。渡欧。帰国後は東京でなく故郷九州に住み、馬を描く。馬の坂本と言われるが、視力が低下、同時に戦争が始まり馬が少なくなって、身近な静物を描くようになる。柿や野菜から、箱、本、煉瓦、植木鉢などなんでもないものへ。能面は、高価なものでないものを手に入れ繰り返し描く。最晩年は月。月とともに描かれるもの〜馬や木、雲〜は皆心に残る大切なもの。
久留米の画塾で同級生だった青木繁が夭折したのと対照的に、長寿で文化勲章を受けた「成功者」というイメージだったが、坂本自身は全く名声に拘らず、描きたいものをひたすらに追求する一画家だったのだなぁと改めて思った。

この日は、「絵から始まる音の旅」と題したワークショップがあって、坂本繁二郎のおぼろな月をイメージした音を子供達が奏で、日本フィルの弦楽四重奏とコラボするミニコンサートがあった。
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https://www.neribun.or.jp/event/detail_m.cgi?id=201906011559351169
坂本繁二郎は福岡県久留米市に生まれます。同級生に青木繁(1882−1911)がおり、互いに切磋琢磨(せっさたくま)する青年期を過ごしています。20歳で青木を追うように上京。小山正太郎の主宰する不同舎に学び、展覧会出品作が数々の賞を受けるなど順風満帆な画業をスタートさせます。
 39歳の時に渡仏し3年間の留学生活を終えると、その足で家族の待つ久留米に帰ります。以降、画壇の煩わしさを避け、郷里にほど近い八女にアトリエを構え、文人のごとき作画三昧(ざんまい)の生活を送ることとなります。戦後になって、九州の彼の地で戦前と変わらぬ穏やかさをたたえた作品を制作し続けていた坂本が“発見”されます。坂本の人となりと作品は瞬く間に人々の注目と喝采を浴びる存在となり、74歳の時に文化勲章を受章するにいたります。
 坂本は、ヨーロッパ留学までは牛を、帰国後は馬を、戦後は身の回りの静物、最晩年は月を主なテーマとして取り上げます。限られたテーマを描き続けた坂本の作品は、同じモチーフを取り上げながらも一つ所に留まることはなく、主題は平凡でありながら、精魂を傾け仕上げられた画面は厳かな静謐(せいひつ)さをたたえています。「描きたいものは目の前にいくらでもある」という言葉は、奇をてらうことのなく、自然と向き合い対象を凝視する彼の作画態度を表した言葉といえましょう。
 本展は、没後50年にあたり、坂本の最初期作から晩年まで、彼の絵画が成熟していく過程を人生の歩みとともに明らかにしていくものです。約140点の油彩、水彩、水墨画などに加えて、互いに磨きあい、支えあった盟友、青木繁の作品も合わせて展示します。

第1章 神童と呼ばれて 1897~1902
第2章 青春〜東京と巴里 1902~1924
第3章 再び故郷へ〜馬の時代 1924~1944
第4章 成熟〜静物画の時代 1945〜1963
第5章 「はなやぎ」〜月へ 1964〜1969

《立石谷》フォト  

《夏野》フォト
上は絹本墨画、下は油彩画。弱冠15、6歳で日本画も洋画もこの出来栄え。まさに神童

《張り物》フォト
赤い布が新妻の腕や着物、顔に反射して映る様が瑞々しい。坂本繁二郎は光を強く意識している画家だと思う。

青木繁《朝日》フォト
青木繁の絶筆。無念だったろうなぁ。同じ年に繁二郎は《張り物》で文展に入選。青木繁とは同級生で、生涯この盟友を忘れることはなかったという。スタートしたばかりの時に良き友人で良きライバルを失うのは、どんなに辛かったことだろう。

《うすれ日》フォト
東洋の心、東洋の幽玄を表したいと描いた。夏目漱石が絶賛、出世作。
この頃描いて未完だった作品をなんと80代で仕上げている。牛の背がいい。
《牛》フォト

《ヴァンヌ郊外》フォト
ナビ派の生まれたブルターニュ。なるほど、繁二郎がナビ派に惹かれたというのは納得。この絵はすでに繁二郎カラーだ。

《馬》フォト
帰国後初めて描いた馬。「これからは馬。馬と柿は一生描く」と言っている。九州各地の放牧場や馬市をめぐる。この頃同時並行で描いていた柿、まるで抽象的な風景画のように静謐。

《放牧三馬》フォト

《松間馬》フォト

《水より上がる馬》フォト
こちらは1937年だが、1953年に再び描いている↓
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画面がより一層明るくなって、私には雲の上を翔ける馬に見える

静物では、果物や野菜よりも何気ない「モノ」がすごくいい。
《砥石》フォト
繰り返し描いていたのは、能面、植木鉢、箱
《能面と鼓の胴》フォト

《植木鉢》フォト

《箱》フォト
 
能面はそれ自体に大いに意味があるので、見ていてザワザワしてしまうが、空の植木鉢や四角い箱は見ていてとても心が落ち着き、穏やかに優しい気分に満たされる。特に使い終わって、次の出番を待つ植木鉢はどれも気に入った。

《毛糸》フォト

《鋏》フォト
文化勲章をお祝いしてくれた八女洋裁学校へのお礼で描いた鋏。美しい布の上に華奢な鋏が女性らしい。

《達磨》フォト
こちらは、行きつけの飲食店店主を励まそうと描いた絵。達磨の後ろの模様は「起」という文字。
人との繋がりも大事にされた方なのね。

《暁明の根子岳》フォト
いろんなものがそぎ落とされた風景もいい。

そして晩年は月。
《月》(無量寿院蔵)フォト

《放牧場》フォト

《月光》フォト

《櫨の月》フォト

《八女の月》フォト

月のそばに浮かぶ控えめな雲の切れ端、月明かりに照らされる馬のシルエット、美しい色に酔う。

絶筆《幽光》フォト
ほとんど視力はなかったらしい。まさに心象風景。

9月16日まで。8月20日より後期、一部展示替えがあります。




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