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2026年10月28日22:50

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10/25 「水滸伝」展@東京ステーションギャラリー

「水滸伝」は概要は知っていても読んだことはなく、ドラマ「北方謙三 水滸伝」もみていない。漫画も小説も知らないが、歌川国芳の出世作《通俗水滸伝豪傑百八人之一個(壱人)》全74図が展示されることと水滸伝の舞台となった宋代の文物が展示されるということで見に行った。どちらも大好物である。

辻惟雄氏に「奇想の系譜」に挙げられた人気浮世絵師歌川国芳は、デビュー当時は全くパッとせず、兄弟子歌川国貞に水をあけられていたが、30歳ごろになって出した《通俗水滸伝豪傑百八人之一個(壱人)》が大当たり、人気絵師の仲間入りをしたという。もちろん私自身は、彼の猫好きにリスペクト。
展示は、最初に《通俗水滸伝豪傑百八人之一個(壱人)》全74図がずらり並び圧巻、大迫力である。第4章でも別バージョンの国芳水滸伝がいくつも紹介され、国芳の水滸伝ブームがいかほどのものだったかを知ることができる。

一方、日本美術を知れば知るほど、その源流となった中国宋元代の書画文物に興味湧き、展示があるたびに見たいと思っている。きっかけは「徽宗皇帝の猫」であったが、水滸伝はまさに、その北宋八代徽宗皇帝の圧政に対して蜂起し梁山泊に集まった豪傑たちのお話し。その腐敗した政治のもとに築かれた煌びやかな文化芸術品を第2章で堪能できた。これが期待以上の内容だった。

第3章以下は、水滸伝その物語の成立と流行、日本でのブームと発展について幅広く紹介されていて、美術館というより文学館的な展示。

撮影は、《青磁水仙盆》と第4章の途中以下が可能。空いています。

https://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202609_suikoden.html
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中国における『水滸伝』誕生の背景、『水滸伝』の日本における流行、イメージの多層化を追う。北宋時代の名品、明時代の版本、国芳の出世作、挿絵や漫画原画、ドラマ衣裳など見どころ満載。
中国四大奇書の一つとされる『水滸伝』は、北宋時代の史実をもとに成立しました。小説の内容は、12世紀、徽宗皇帝の治世を舞台に、腐敗した政権に不満を抱いた宋江率いる108人の豪傑が梁山泊に集うというものです。
日本に伝わった『水滸伝』は江戸時代に一大ブームを巻き起こし、オリジナルとは違った新たな物語や表現が生み出されていきました。曲亭馬琴は葛飾北斎の挿絵で『新編水滸伝』を出版、さらにその日本版ともいえる『南総里見八犬伝』を著し、その後多くの翻案作品も生まれました。また、歌川国芳が描いた豪傑たちの錦絵は、彼の出世作としてよく知られています。現代でも、小説や漫画、ドラマ、ゲームなど、多彩なメディアで『水滸伝』のイメージが親しまれているといえるでしょう。

本展では『水滸伝』に着想を得た作品とともに、物語が生まれた時代背景や世界観を、美術と資料を通して紹介します。北宋〜清の多彩な中国美術、および江戸〜現代にいたるまでの日本美術を多角的に展観し、『水滸伝』の奥深い魅力に迫ります。



◆ すいこでん【水滸伝】
中国、明代の口語体の長編小説。四大奇書の一。100回・120回・70回(清の金聖嘆が物語の後半を削除して改作したもの)の諸本がある。施耐庵作(羅貫中が合作、または改訂したとする説もある)。成立年代未詳。宋江を首領とする108人の豪傑が山東省の梁山泊を根城にして官軍に抵抗し、やがて滅びていく物語。「宋史」にも載っている宋江の反乱が、説話や芝居・小説などに脚色されて民間に流布していたのを集大成したもの。(『大辞林 第3版』より)


第1章 梁山泊へようこそ

歌川国芳《通俗水滸伝豪傑百八人之一個(壱人)》全74図
何度も書くように、これは圧巻。108人の豪傑を現存74図描いているそうで、それぞれがどんな場面なのか、読んだこともない私には全くわからないのだが、豪傑たちの躍動シーンはまさに劇画。当時の人たちも発売日を待って、コンプリートしたり、仲間内でトレードしたり、人気のある図、レアな図取り混ぜて、楽しんだのではないんだろうか。

筋骨隆々!
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ものすごいスピード感と画面から飛び出しそうな迫力の構図
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身体中に施した刺青は、この国芳の錦絵からブームになったそうだ。それまでの刺青はワンポイント系だったようで、国芳描く侠客の倶利伽羅悶々に憧れる人続出で、現在のように定着したらしい。(そういえば、国芳の刺青絵に憧れた外人浮世絵師がいたっけ)
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衣装の柄もまた面白く。描かれる小物は、決して時代考証を行なったものではなく、中国の「それらしい」ものを配しているそうで、そういうところに娯楽性を感じる。
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第2章 豪傑たちの生きた時代

書画や陶磁器をはじめとする美術が高い水準に達した一方、華やかな都市の裏側では重税や格差に苦しむ人々が増え、社会不安が広がっていた宋時代。
絶頂期にあった宮廷文化を名品を通して知る。

趙浙《清明上河図》中国 明時代 万暦5年(1577)(部分)
副製品で見たことがあり、とても見たかった作品。明時代に北宋の都・開封のにぎわいを描いた重要文化財で、とにかく細かい。前後期入れ替えとなり、私は後期を観覧。単眼鏡で見るとやっとわかる小ささだが、活気ある街並みが描かれている。人一人が何かをし、何かを話し、それぞれ物語があるような描き方だ。少し意外なのは、日本の洛中洛外図屏風などには、犬や猫の姿が描かれているが、こちらには全くない。動物は馬かロバだ。野良犬はいなかったのだろうか。それにしても面白い。
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太湖石 中国
中国蘇州付近太湖で採れる奇石で、中国各地の庭園に置かれている。以前中国旅行した時には江南地方のどこの庭園に行ってもこれがあり、少々うんざりしたものだが、かなり珍重されているらしく、北宋徽宗皇帝は人民を徴用してこれを蘇州から開封まで運ばせたという。これを「花石綱」といい、巨大な石を運ぶため通り道の家屋や水門橋梁をことごとく破壊して社会に多大な被害を与えたんだと。これじゃ不満が起こるわけだ。



郭忠恕(款)《明皇避暑宮図》中国 元時代(部分)
定規を用いて真っ直ぐに引かれた線で細かく建物を描き、そうして描いた華麗な楼閣が密集する間に巨石や古樹が配されている。太湖石もありました。
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仇英《九成宮図》中国 明代
美しい青緑山水。仇英は、「明四大家(呉門四家)」の一人、明代を代表する画家。
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大観通宝 中国 北宋時代
痩金体という美しいフォントを自ら作り出した徽宗皇帝、通貨の文字も徽宗皇帝が揮毫している。
徽宗《神霄玉清萬壽宮碑 》北宋時代 宣和元年(1119年)
これが痩金体。細く力強い硬い線でかかれ、金属的な印象。美しいが温かみはないね
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《淳化閣帖(夾雪本)》北宋時代 淳化3年(992年)

2代太宗の命により編纂された法帖の拓本。虫食いの跡が雪を挟んだように見えるから「夾雪本」というなど、雅だなぁ。こちらは王羲之の書。
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他にも、米芾(べいふつ)や蘇軾・黄庭堅など宋の四大家の書が並ぶ(猫に小判だったが)すごいなぁ。

(伝)易元吉《聚猿図》南宋時代 13世紀
秋冬の渓谷。岩をよじ登る、枝にぶら下がる、川の水をすくうなど、たくさんの大小様々な猿たちが生き生きと描かれている。これは楽しい!易元吉は猿の絵の名手。
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燕文貴《江山楼観図》中国北宋時代 10〜11世紀
以前見たことがある作品。幽玄な世界に引き込まれた。大阪市立美術館の宋代コレクションはすごい。
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景徳鎮窯《青白磁 蓮花形杯・托》中国北宋時代 11世紀〜12世紀
静嘉堂文庫で既知。繊細で美しい青磁白磁にうっとり。雅な宮廷文化の裏に苦しむ数多の庶民がいるのはいつの世も同じ。
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汝窯《青磁 水仙盆》中国北宋時代 11世紀〜12世紀
大阪市立東洋陶磁美術館所蔵。同じものを2014年「台北 國立故宮博物院展」で見たことがある。同じものは世界に数点しかないらしい。
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1930205101&owner_id=2083345&from=list_diary_search
「天青」と呼ばれる、柔らかい気品ある水色の器は、八角の特別展示室の特別ケースに入っていて、「上品!」と叫びたくなる美しさ。なるほど宋王朝の美の粋だね。
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磁州窯掻き落としの梅瓶も大好きなもので、この章に最も時間をかけて堪能。


第3章 武侠小説・水滸伝の誕生と流行

中国の四大奇書は、『三国志演義』『水滸伝』『西遊記』『金瓶梅』、うち『金瓶梅』は『水滸伝』のスピンオフ。たしか『紅楼夢』も4大奇書に入れられていた気がするけれど。?

夢英《十八体篆書碑》北宋時代 太平興国9年/雍煕元年(984)以降
『水滸伝』の冒頭で、百八の魔星が封印されていた伏魔殿の石碑に刻まれていた書体(科斗篆=オタマジャクシのような形の古代文字)の典拠となっている。こんな書体があるなんて面白い!
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《護法天王図》元代 14世紀 画像なし
仏教の「天部」にあたる守護神(護法天王)や様々な異形の神々を描いたもの。水滸伝のアウトローな登場人物は、やがてこういた神々のビジュアルと結びつく。

《水滸前本》清時代嘉慶年間 19世紀
蘇州版画と言われるもので描かれている。浮世絵のようなものだろうか。
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第4章 拡張する英雄像

17世紀に日本へ伝わった水滸伝は、18〜19世紀には翻訳や翻案が次々と登場し、大人気になる

曲亭馬琴作、葛飾北斎画《真剣水滸画伝》 江戸時代 文化2年・4年(1805・06)
北斎による大胆な構図と迫力ある人物描写は、その後の水滸伝イメージにも大きな影響を与えた。馬琴の代表作『南総里見八犬伝』は「水滸伝」の要素を日本独自の物語へ発展させた作品であった。
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水滸伝人気は、浮世絵や読本だけにとどまらず、歌舞伎、遊女を豪傑になぞらえた錦絵、果ては春画、双六などへ広がり、江戸の人々の日常に深く浸透する。
卍斎田蝶《水滸伝半纏》 江戸時代 19世紀
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歌川国芳《本朝水滸伝豪傑百八人一個》江戸時代 天保元年〜7年(1830〜36)
日本の英雄たちを「水滸伝」108星に仮託して表したもの。
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第5章 忠義のゆくえ

強大な権力への抵抗、個性的な仲間たち、熱い絆、掲げる理想の表現として「水滸伝」の物語は現代社会と呼応しながら今も支持されいている。

杉本健吉《吉川英治作「新・水滸伝」挿絵》昭和33〜36年
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白髪一雄《天魁星呼保義》昭和39年
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《1986年カレンダー》中国
そういえば、1980年末から1990年代にかけて中国にしばしば行ったが、本屋や雑貨屋では水滸伝キャラクターものをよく見かけたのだった
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さいとう・たかを《マンガ水滸伝 原画》平成8年
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11月8日まで


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