ランドセル背負ったままの幽霊がいちばん未来を信じてるかも #短歌
大人にはならなくていいそのかわりアイスは溶ける前に食べよう #短歌
入口を抜けて入口へと戻る 夏の夜風が笑う夢の中 #短歌
花屋には花しか売ってないけれどそれで助かる日もあるんだよ #短歌
やわらかな毛布を星にしまう夜 名前を呼べば朝へ近づく #短歌
窓際に置いた小さな鉢植えの沈黙だけが今日を育てる #短歌
記憶とは役に立たない情報を優先保存する装置らしい #短歌
切り取った静かな夜の標本箱 目玉の奥で月が瞬く #短歌
花びらの散る音のようにクルトンがスープの底でゆっくり沈む #短歌
そんなふうに見つめないでよ 僕たちの身体はいつも壊れかけてる #短歌
カメラ目線くださいと言われても僕には目玉が三つしかない #短歌
カーテンの青をひらいて朝という名前を今日も静かに着てる #短歌
目覚めとは世界に先に着くことでまだ誰も来ない廊下が白い #短歌
空っぽに近づくほどに容器とは容器であること強く主張する #短歌
信じても信じなくても朝は朝 それでも見たい空があるから #短歌
欲望は整列すると美しくケーキの値札を静かに読んでる #短歌
本当は誰より食べたいだけなのにお先にどうぞと言ってしまった 短歌
いちごからこぼれた赤を見つめつつわたしは今日もやさしく並ぶ #短歌
「まあいいか」笑って食べる昼下がり 愛もこんなふうに走っていたね #短歌
人生のほとんどはそれでできている「まだあるはず」という世界観で #短歌
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