レジ袋ひとつ揺れれば夕暮れは誰の機嫌も少しほどける #短歌
どちらでもいいと思える関係案外いちばん壊れにくいね 短歌
帰り道ひとつの影がふたつ揺れ蝶の行方を目で追っている #短歌
終了を知らせる音は公平で喪失だけが取り残される #短歌
冷蔵庫ひらけば白い灯がともり夜は何事もなかった顔だ #短歌
文明は「チン(という音を発明し恋の終わりまで温めてしまう #短歌
爆発じゃない終了の音でした それでも終わるものは終わります 短歌
麦茶には氷がひとつ鳴っていて今日という日を一緒に飲んでる #短歌
風鈴の音に会話を預ければ夕立のあとの空までやわらぐ #短歌
殻なんて最初からなかったみたいにひかりのなかでわたしは光る #短歌
まどろみの駅の入口何度でも君に会えない景色が続く #短歌
薄紙の重なり合ってゆく夜を僕らは愛と呼んで笑った #短歌
人類はパフェを発明した日から8月にまだ勝ち続けてる #短歌
「おやすみ」を言う相手などいないのに声帯だけが今日を閉めてる #短歌
溶けること知ってて買った氷にも少し期待をしてしまう夜 #短歌
「TOKYO」という巨大な括弧のなか ぼくらは注釈として生きてる #短歌
空虚でも誰かと並べば少しだけ帰る理由になってくれます 短歌
ポケットにしまえないものばかりです 霜のひかりも君の横顔 #短歌
役に立つものだけ選ぶ世界から蜘蛛の糸など朝に消される 短歌
欲しいだけそれだけで十分なんでしょうと自販機の湯気が言った気がする #短歌
枝先のひかりを少し借りながら靴音だけで朝を歩いた #短歌
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