溶けてゆくものの名前を呼びながら夏の輪郭なぞっていたね #短歌
文明の最終拠点がここならば腹筋マシンをまず試したい #短歌
夜更けにはことばもみんな水になり指のあいだからこぼれてしまう #短歌
ラムネ瓶の底でゆらゆら混ざりあうきみの青にもなれる気がした #短歌
カーテンの裾にひっかかる夕暮れをほどけばあしたも来てしまいそう #短歌
消せないし録画もできない生活がベランダ越しに発光してる #短歌
室外機の熱にまぎれて飛ぶ鳥の影を見送るだけの夕映え #短歌
終電の窓にひろがる夜空ごと鞄にしまうみたいな帰路だ #短歌
才能があるとかないとかいう前に今日をやめないことが難しい #短歌
冷蔵庫の灯りのような静けさで誰にも見えず減ってゆく日 #短歌
賞味期限切れても食べることがある だからこそきぼうは捨てなくていい #短歌
夕立の水をひとつぶ連れ帰る 靴底だけが今日を知ってる #短歌
右足が先に痺れる人生を修正出来ぬまま駅へ着く #短歌
ベランダに干したゆかたの袖からもまだ人混みの風がしている #短歌
飲みかけの麦茶の氷鳴るたびに言わないことが増えてゆく夜 #短歌
ポケットに鈴をひとつと冗談を入れて帰れば夜はやさしい #短歌
冷たさに触れて確かめ夏だった 虹の死骸を水が撫でゆく #短歌
ラッピングのリボンほどけば夕暮れの声もやさしく花を覚える #短歌
思い出は水面に浮かぶ花をすくうたびまたきみに近づく #短歌
風だけは誰のものでもないままで放課後の窓を明るくひらく #短歌
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