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2026年07月20日21:19

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7/19 山口華楊展@SOMPO美術館

SOMPO美術館で山口華楊展とは意外な、と思ったら、初期の傑作《葉桜》、円熟期の《猿》、そして華楊芸術の集大成《幻化》3点を所蔵しているという。


山口華楊は、小学生の時父に連れられた日展で知った。大型作品は日展で見て、小型の花鳥画はデパートの美術ギャラリーで見たが、最近はずっと見る機会がなかったように思う。
それもそのはず、1999年の銀座松屋を最後に、東京では回顧展が行われてこなかったという。

で、捜してみたらあった。1999年銀座松屋の時の図録である。私の好きな動物を多く描いている画家だから買ったのだろう。銀座松屋の後は、大阪と京都の大丸に巡回している。
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平日昼頃行ったが、思ったより人が多かった。帝展、文展、日展に出展した作品が多く、それらは大型作品なので人の多さはほとんどストレスにならず鑑賞できた。珍しく全て撮影不可。

https://www.sompo-museum.org/exhibitions/2025/yamaguchikayo/
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日本画家・山口華楊(やまぐちかよう 1899-1984)は、西村五雲(1877-1938)に入門後、京都市立絵画専門学校に入学。主に動物を主題とした作品で頭角を現します。五雲の亡き後は画塾・研究団体である晨鳥社を再興し、京都画壇を代表する画家の一人となりました。本展では、当館が収蔵する華楊の代表作3点を中心として、初期から晩年までの画業を通覧します。京都ではなじみの深い華楊ですが、東京では27年ぶりの回顧展です。


第1章 初期作品


《葉桜》1921(大正10)年
第3回帝展入選。葉桜の量感的な描き方は西洋風。下の蛇を描き入れるにあたって悩んでいたら、知恩院でこの蛇を見かけ、手拭いで捉えて写生したという。写実を旨とする円山四条派の流れを汲む京都画壇の人らしい。
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《耕牛》1934(昭和9)年
牛のうなじから背筋、尻尾の付け根までの間に少し長めの毛が生えているあたりの描写がリアル。田を耕す牛の実直さが伝わる。水面に美しい波紋、雨が降っているのね。右下にはドクダミの花。小さなところに神経が行き届いた作品だ。
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第2章 系譜ー師・五雲から華楊へ


《洋犬図》1937(昭和12)年

近美でお馴染みの作品。第1回新分展出品、政府買い上げ。気品あるボルゾイ。白くてわかりづらいが、毛並みの描き方が素晴らしい。写生するために京都から何度も東京に通ったという。
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西村五雲《園裡即興》1938(昭和13)年
師である西村五雲の作品。京都市記念動物園で猛獣の餌となる兎を即興で描いた。
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こちらは、華楊が描いた兎。《待春》制作年不詳
雪で埋もれた洞穴から顔を覗かせる兎。華楊は「兎が一番可愛らしい」と言ったそうだ。五雲の動物画には厳格さがあるが、華楊が描く動物には作家の慈しみの情が反映されている。
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《犢(こうし)》1941(昭和16)年
師への哀悼の気持ちで描いたという。悲しみが画面に漂う。冷たい色の草むらが儚さを示しているようだ。
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《制空》1944(昭和18)年

鳥獣を描くも戦時下においては、特別の意味を持つ。従軍画家として積極的に前線へ行ったらしい。南洋で軍用機の取材をした折に描いた。
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コラム1 憩う動物ー「かわいい」の理由
《日向》1949(昭和24)年
第5回日展。モダンなタイル張りの空間。俯瞰してみた洋犬の親子。すらっとした親犬のフォルムが伸びやかな細い線で描かれ強調されている。戦後の新しいスタイルの日本画だ。
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《鹿苑》1969(昭和44)年
《小下絵貼り交ぜ屏風》のなかに、鹿の頭数やポーズを何通りか描き換えた下絵があった。構図をじっくり練る。
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第3章 探究ー植物表現の生命力
動物画家といわれる華楊だが、本人は花鳥画家と認識していたらしい。圧倒される存在感をもつ植物

《樹》1963(昭和38)年
老樹なのだが、生命力みなぎる女体を想起させる。
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《白露》1974(昭和49)年
6回改組日展。次世代へと種を蓄えて俯くひまわりと、咲き出した鶏頭の花、移ろう季節に世代交代などを重ね合わせることもできるか。
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《青柿》1978(昭和53)年
10回改組日展。実の重さで下へ大きくしなる柿の木。その葉陰に黒猫。黒猫を配することで空間に絶妙なバランスを作っている。落ちた柿の実の位置もいい。黒猫の目は緑を写しているのか、左右で少し色が違う。
それにしても、日本画家は黒猫が好き。春草から始まって、観山、御舟もちょこんと黒猫。なぜ?
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コラム2 ちいさな仕事ー下絵
《小下絵貼り交ぜ屏風》1947〜81(昭和22〜56)年
展示されている多くの本画の下絵が貼り交ぜになっていて、これは面白い。どんなふうにスケッチをしてどのように構成を練ったかがわかる。動物の絵を描くにあたって、その立体をも粘土で作ってみるらしい。狐のマケットも展示されていた。
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第4章 大成ー「偉大なる動物画家」として


《白い馬》1952(昭和27)年
この年琳派に感銘を受ける。背景を抽象化して動物の存在を際立たせる。転機となった作品。
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《黒豹》1954(昭和29)年
天王寺動物園で写生。画面の緊張感がすごい。曲線だけで構成されているしなやかな豹の体は、スクエアな画面で右端だけ一部ぶった斬られている。背景の色と豹の鋭い眼光が呼応。華楊らしくないのかもしれないが、大好きな絵。
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《黒豹》1960(昭和35)年
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《秋晴》1976(昭和51)年
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会場では、黒豹と黒猫が並んでいた。なんだか、おかしい。

《黒豹》は、2頭で描いた方は体のしなやかさを強調、こちらの方は筋骨が隆々とした様を強調しており、目線が鑑賞者と同じ高さなのでさらに恐ろしさを感じる。
《秋晴》の猫は、菱田春草《黒き猫》へのオマージュではないだろうか。

《虎》1956(昭和31)年


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《虎児》1957(昭和32)年
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黒豹が激しく鋭いのに対して、虎は何故かのんびりしている。動物園の虎だから可愛いのよね。
単純化、簡略化した線は的確で本質的な姿を捉えている。成虎の伸ばした体のよじれ具合など、猫にもみることがある。

《凝視》1962(昭和37)年
ライオンの絵といえば、金屏風に描かれた竹内栖鳳《大獅子図》を思い出す。どちらも丹念な写生を元に迫真の表現で百獣の王を描いているが、栖鳳のライオンが威嚇しているのに対し、華楊のライオンは何かをじっと見つめている。観察している画家を観察しているのだろうか。
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《霽(せい)》1968(昭和43)年
雪の浜辺に鴉の群れ。左端に水面が見える。鴉の色は黒だと思ってみていたが、深い青だった。しかも角度を変えてみるとその青が変わり、羽根の様子がよく見える。美しい。ふわふわの雪面に埋もれる脚の表現もまた上手い。
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《木精(こだま)》1976(昭和51)年
九段下にあった時には山種美術館によく行った。何度も見て何度も感動した。樹齢600年の大木に宿る神、木兎はその使いか。華楊の作品のなかで最も精神性の高い素晴らしい作品と思う。
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そして、狐。
九尾の狐があるように、日本古来から狐という動物には妖しさがつきまとう。そして近代日本画家の狐というと、最近見た下村観山の《白狐》が記憶に新しい、森の中で静かに妖気を発していた。

では、華楊の狐はどうだろう。静の《月夜野》と動の《幻化》、画家の動物に対する優しい眼差しを持って描かれていて、そこに少し、人智を超えた妖しさを加味している。その塩梅がいい。
《月夜野》1971(昭和46)年
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《幻化(げんげ)》1979(昭和54)年
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8月30日まで 

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